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暗闇で不気味に発光するズワイガニの軍艦巻 「まるで夜光塗料」と購入者…一体なぜ? 専門施設に聞いた「生物発光」の意外な正体とは

平藤 清刀 平藤 清刀

誕生日を祝う席を彩るご馳走として、多くの家庭で重宝されるのが寿司だろう。しかし、京都府内に住む40代サラリーマンの男性は、自分が食べようとした寿司ネタのズワイガニの身が暗闇で青白く光るという、SF映画さながらの光景に直面した。家族がパニックに陥った「青白い光」の正体は、いったい何だったのか。

長女の誕生日に買って帰ったズワイガニの軍艦巻が翌朝…

事の発端は、長女の誕生日を祝うために近隣の大手寿司チェーン店で購入した詰め合わせだった。当日の夜に購入し、家族で「ハッピーバースデー!」と団らんを楽しんだ後、残った分を冷蔵庫で保管。翌朝、男性が前夜の残りを食べようとしたとき、異変に気付いた。

「部屋が少し薄暗いから気付いたのですが、軍艦巻きのズワイガニが青白く発光していたんです」

家族5人でその様子を見つめ、パニックに近い状態になった。

「最初は信じられませんでした。まるで夜光塗料みたいな光り方だったんです」

じつは、長女は、前夜のパーティーですでに気づいていたことを、このとき初めて打ち明けた。だから、箸をつけなかったという。

「そのとき言ってくれたらよかったんですけどね。僕は手を叩きながらハッピーバースデーを歌っていましたし、周りにはケーキも置かれていたから気づかなかったのです」

男性は結局、そのズワイガニを食べなかった。購入した店舗へ状況を連絡し、現物を示して説明を求めた。店側は謝罪の上、全額返金で対応。後日、「調査した結果、食中毒の恐れはなかった」との回答を得たが、発光していた原因についての説明はなかった。

カニを光らせたのは「発光バクテリア」のしわざ?

では、なぜ「ズワイガニの身が青白く発光していたのか?」という謎が残る。そこで水族館を主体とする博物館「ニフレル」(大阪府吹田市)に取材してみたところ、光のメカニズムには大きく分けて2つの種類があるとのこと。

生物発光:オキアミや発光バクテリアなどが、体内の酵素を反応させて自ら光る現象。 

生物蛍光:カイカムリやサソリなどのように、紫外線を吸収して異なる波長の光を放出する現象。

「例えばオキアミが、自らの体内(もしくは体外)でつくり出した酵素を反応させて『生物発光』することがあります。本件のズワイガニも、表面で発光バクテリアが増えて『生物発光』しているのだと思います。ちなみにカイカムリ、オワンクラゲ、サソリなどのように、紫外線を吸収して違う波長の光で放出する『生物蛍光』とは別物です」

販売店からは「食中毒の恐れはありません」と回答があったそうだが、実際の安全性はどうなのか。

ニフレルの担当者は「農林水産省の相談事例(下記URL)によると、発光バクテリア自体は無害です。しかし、発光バクテリアが繁殖する環境下では、他の有害なバクテリアも同時に増殖している可能性があると注意を促しています」とする。

京都府の男性は「たまたま部屋が薄暗かったから気づきましたが、もし明るい場所だったら気づかずに食べていたかもしれません」と語る。食卓に現れた「謎の光」は、自然の不思議を同時に考えさせる、この男性にとって忘れられない日となった。

◇  ◇ 

<農林水産省の相談事例>

https://www.maff.go.jp/j/heya/annai/tusin/pdf/jirei0704.pdf

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