はんこを製作する印章彫刻技能士・椿山幹夫さん(38)=岡山県倉敷市玉島=が、さまざまな職種の技能者が腕を競う全国大会「第33回技能グランプリ」(厚生労働省など主催)で最高賞の金賞に輝いた。県内唯一の受賞で「認められた技術で手彫りの良さを伝えていきたい」と話している。
大会は原則隔年開催で今回は2、3月に大阪市などで実施。「建築配管」「日本料理」など30職種に計430人がエントリーした。椿山さんは「印章木口彫刻」に出場し、7時間以内に3センチ四方の印面を彫り「大阪関西万国博覧会」の文字を浮かび上がらせる課題に挑戦。文字のバランスや配置、印影の美しさが評価され、全国19人の頂点に立った。
大学卒業後、はんこ職人を育てる神奈川県の職業訓練校で学び、父・伊三次さん(故人)が創業したはんこ店を25歳で承継。客から信頼してもらうため大会の金賞を目標にしてきた。
挑戦は4回目。過去3回はいずれも銅賞だった。悔しさをばねに今回は課題が発表された昨年11月以降、時間配分や仕上がりの精度を意識しながら毎日、仕事終わりに練習に取り組んだという。
最近はSNS(交流サイト)を活用した情報発信にも力を入れる。製作工程の動画をユーチューブで公開。インスタグラムではアニメキャラクターの名前のはんこなどを紹介している。
機械で量産されたはんこが出回り、一方で「脱はんこ」の動きもある。事業環境は厳しいが、身内の成人、結婚祝いなどで手彫りを注文する客は今も少なくない。「手彫りは文字の大きさや書体が一つ一つ異なり、温かみもある。唯一無二の価値を広く知ってもらい、父が始めた店を守っていく」と語る。