出社回帰の傾向があるとはいえ、働き方の制度として定着してきた「フルリモート」ですが、毎日快適に自宅でお仕事をするためには環境を整える必要があります。
そんなフルリモートに「向かない家」、思わぬ落とし穴に気づいてしまった方々のお話を伺ってきました。
「静かなマンション」と思っていたけれど
Aさん(関東在住、20代、会社員)はIT企業にお勤めのエンジニアです。前職では基本的に出社が必要で、週に半分は客先での作業もあるなど、一人暮らしのワンルームマンションに帰宅するのは夜遅くになってからという生活でした。
数カ月前に転職に成功した現在の職場はフルリモートも出社も選べる仕組みで、満員電車に乗るのが嫌になったのも理由のひとつで転職活動をはじめたAさんは、週の半分ほどを在宅勤務で申請しています。
そんなAさんが暮らすマンションは単身者向けではあるものの、10階建ての鉄筋コンクリート造で築年数も10年未満、バストイレ別の8畳で、周辺相場よりも3割ほど高い「質の良い」物件でした。
「隣の人が咳をしたのがわかる位壁が薄いなんてアパートじゃなくてよかった!」と安心していたAさんですが、自分自身が在宅ワークをはじめて日中在室するようになり、すぐに異変に気がつきました。
同じようにリモートワークをしているらしい隣人の「電話の着信音」や「Web会議をしているらしい声」が聞こえてくるのです。
「音が聞こえていないわけじゃなかったんです。単に夜や休日は両隣が静かなだけだったんですね。向こうの音が聞こえるということは、ウチの音も聞こえているということで…。これって、どうやって入居の時に確かめられますかね??」
お隣との窓が近いワンルームマンションならではのお悩みかもしれません。
2階ホールにワークスペースを作ったけれど…
Bさん(関西在住、30代、会社員)一家が建てたのは2階建ての注文住宅で、1階に水回りとLDKに6畳のファミリークローゼット、2階に寝室と将来個室に分けられるように建具を準備したキッズルーム、さらにリモートワークのために準備したワークスペースという間取りです。
ワークスペースは階段ホールを広くとった一角に2人並んで座れるデスクと図書スペースも兼ねた書棚を用意し、明るい日差しが差し込んで開放的な雰囲気です。
ビジュアル的には100点満点のワークスペースなのですが、実際にリモートワークをしてみて失敗に気がついてしまったそうで…。
「1階との吹抜けもあるので、空調が利きにくい場所ですね。全館空調なので大丈夫と思ってたのですが、他の場所よりは暑いし寒いです。それから廊下を兼ねており、後ろを家族が通ると気になります。声も少し反響するし、1階にモデムやルーターを置いているため、少し回線が重くて。有線を通せばよかったというのもあります。1階のファミリークローゼットを半分にして、小さな個室を作ればよかったと思っています」
「広々明るい」がマイナスになることもあるなんて、イメージしにくいですよね。
防音も空調も完璧な3畳の書斎
Cさん(関東在住、40代、会社員)は部署異動をきっかけに、一人暮らしのための2LDK中古マンションを購入、フルスケルトンリフォームを実施しました。
それまで毎日オフィスに出勤だった仕事が基本的にリモートワークになったこともあり、専用のワークスペースに奮発して高級オフィスチェアも購入したCさんだったのですが…。
「防音や空調はもちろん、とにかく便利にしたいと思って、3畳のスペースの両サイドに棚を作ってプリンタも書類も手を伸ばせば届く場所に配置しました。狭い家なのに足元にミニ冷蔵庫まで用意して。トイレに行く以外は1歩も動かずに仕事ができて完璧、と思っていたんです。何がダメだったかというと、シンプルに運動不足です。仕事を始めて1週間で腰のダメージに気がつきました。強制的に立つ・歩くをする仕組みにした方がいいと思います…」
体も大事にしなければ、とCさんは週に2日、片道1時間半かけてオフィスに出社するようにしているそうです。