藤子・F・不二雄さんが1969年から1997年にかけて連載し、今や世界中で愛されている漫画『ドラえもん』。
今、SNS上ではそんなドラえもんの海賊版が大きな注目を集めている。
中国で流通しているという件の海賊版『ドラえもん2世』を紹介したのは、海外の海賊版ドラえもんを研究、紹介している三畔(みくろ)さん(@guru_micro)。
海賊版と言うとただのコピー商品や、タッチが稚拙だったりするイメージがあるが、“膝子・F・不二雄”名義で流通していた『ドラえもん2世』はその点ではかなりの水準。ストーリー面でもやや暴力的な内容が多いきらいはあるが、相当に原作を読みこんだ形跡がうかがえる。
三畔さんにお話を聞いた。
ーー『ドラえもん2世』の背景は?
三畔:発行時期は不詳ですが、同じ作者がオリジナルストーリーの「大長編ドラえもん」第18巻『和平五勇士』・第19巻『地球防衛戦』なども執筆していることから、日本で藤子・F・不二雄先生が「大長編ドラえもん」第17作『のび太のねじ巻き都市(シティー)冒険記』を連載した1996年前後に発行されたものだと私は推測しています。
当時は中国でも正規版の『ドラえもん』が流通している時代でしたが、海賊版も同じように流通していたようです。ただし多くの海賊版は中国正規版のコピーか、または日本版を翻訳したものがほとんどであり、『ドラえもん2世』のように日本版に近いクオリティでオリジナルストーリーを描いたものは皆無でした。ゆえに私は本作の存在を知って驚愕した次第です。
中国では近年でも書店で海賊版書籍が売られていたと聞きます。たとえばJ・K・ローリング著「ハリー・ポッター」シリーズについては正規版と海賊版が同じように売られていまして、確認できるなかでは2006年3月発行の海賊版オリジナル巻の19冊目『ハリー・ポッターとヴォルデモート』がもっとも新しいものです。
ーー海賊版ドラえもんは数多くあるようですが、三畔さんにとって特に印象的なものは?
三畔:海賊版ドラえもん研究において日々が驚きと発見の連続でして、なにか一つに絞ることは難しいです。最近はタイやミャンマーにおけるドラえもん風オリジナルコミックも発掘したりしていまして、興味がつきません。
あえて言えば青文オリジナル大長編ドラえもん『のび太の模擬地球(シムアース)』には驚かされました。
本作はひみつ道具で星ひとつ創造することをテーマにした大長編作品なのですが、藤子・F・不二雄先生が地球創造をテーマにした『のび太の創世日記』や惑星開拓をテーマにした『のび太のねじ巻き都市(シティー)冒険記』を執筆するよりも前に、青文出版社が同様のテーマの大長編作品をすでに出版していたということに驚愕しました。
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「権利の侵害」と言ってしまえばそれまでだが、それだけではおさまらない不思議な魅力と作者の原作愛を感じる海賊版ドラえもん。読者のみなさんはこういった創作活動をどのように感じるだろうか?
なお今回の話題を提供してくれた三畔さんは日々、SNSやブログ「青文ドラ和訳ブログ」で海賊版ドラえもんについて紹介している。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
【三畔(みくろ)さん関連情報】
▽Xアカウント
https://x.com/guru_micro
▽青文ドラ和訳ブログ
https://micro-note.doorblog.jp/