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離婚後の「共同親権」導入で養育費はどう変わる? 単独親権との違いや養育費を優先的に回収する「先取特権」の強化などについて解説

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すでに離婚済みの場合はどうなる?

改正民法が施行された後でも、すでに離婚して単独親権となっている場合は、自動的に共同親権に変わることはありません。しかし、一定の条件のもとで共同親権への変更が検討できる可能性があります。

法務省の資料によれば、すでに離婚している場合の親権変更は、「家庭裁判所が、こども自身やその親族の申立てに基づいて、こどもの利益のための必要性を踏まえて」判断されます。つまり、当事者である父母の合意だけでは変更できず、家庭裁判所の審判を通じた手続きが必要となるのです。

特に重要なのは、子どもの利益を最優先に考慮するという点でしょう。家庭裁判所は、父母と子どもとの関係や、父母間の関係など様々な事情を考慮した上で判断を下します。例えば、長期間にわたって養育費の支払いを怠っていた場合は、共同親権への変更が認められにくい可能性があります。

また、法務省の資料では、「虐待やDVのおそれがあるときや、父母が共同して親権を行うことが困難であるとき」には、共同親権への変更は認められないと明記されています。これは子どもの安全と健全な成長環境を守るための重要な制限です。

共同親権への変更を検討する場合は、子どもの安定した生活環境や心理的な影響を十分に考慮し、子どもの意向も尊重することが大切です。何よりも、親権形態の変更が子どもにとって本当に有益なのかどうかという観点から慎重に判断する必要があります。

出典:法務省民事局「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(2024年12月発行)

養育費の未払いを防ぐための対策と法的措置

養育費の未払い問題は深刻化するケースが多々あります。事前に合意書を作成する方法や、強制執行などの法的措置について確認しましょう。

まず予防策として最も効果的なのは、離婚時に公正証書や調停調書という法的効力のある文書で養育費の取り決めを明確にしておくことです。特に、公正証書に「強制執行認諾文言」を付けることで、支払いが滞った場合に裁判所を通じた差押え手続きがスムーズに行えます。

2024年の改正民法ではさらに、離婚後、法律上当然に「法定養育費」が発生し、かつ、養育費債権に「先取特権」が付与されることで、従来よりも簡易な手続きで差押えができるようになります。

また、支払いを確実にするための実践的な工夫として、口座振替や自動送金の仕組みづくりや、定期的な収入状況・子どもの成長に応じた見直しの機会を設けることも有効です。特に、失業や病気など予期せぬ事態が発生した場合には、早い段階で話し合いや再調停を行い、現実的な支払い計画を再設定することが大切です。

万が一、未払いが発生した場合の対応としては、改正法による情報開示手続きの簡素化が助けになります。一度の申立てで財産開示、給与情報の提供命令、差押えまでの一連の手続きが申請できるようになるため、子どもの生活を守るための迅速な対応が可能になります。

養育費の支払いは親としての重要な責務であり、子どもの健やかな成長を支える基盤です。事前の備えと適切な法的措置を組み合わせることで、安定した養育環境を整えることができるでしょう。

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~チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所 佐々木 裕介弁護士のコメント~

子どもの別居親(多くが父親)にとっては、事前に反論の機会もないまま裁判所で債権差押命令等が発令され自身の勤務先に突然差押通知が届く可能性もありますので、離婚時に正しく合意文書を作らないリスクが高まります。他方、子どもの同居親(多くが母親)にとっては、離婚時に合意文書を作成せずに債権差押命令の申立てすることが選択肢として提示されるものの、その金額は法務省で定められる金額に限定されることから、依然として、離婚時に合意文書を作成する必要性は高いと言えます。

離婚後も父母が子育てを行う「共同養育」とは

親権の形態にかかわらず、離婚後も共に子どもを育てる「共同養育」という考え方があります。その概要を見てみましょう。

共同養育とは、親権の形態にかかわらず、離婚後も父母が協力して子どもを育てることを指します。たとえ単独親権であっても、面会交流や教育面での協力を保つことで、子どもに二人の親の愛情とサポートを提供できる仕組みです。欧米では共同親権と並行して、この共同養育の考え方が一般的に浸透しています。

共同養育を実践するためには、父母の間に最低限の信頼関係やコミュニケーション手段が確保されていることが前提となります。連絡ツールを整備したり、定期的に子どもの近況を共有する仕組みを作ることで、離れて暮らす親でも子どもの成長過程に深く関わることが可能です。子どものイベントや進学先の話し合いなどでも、お互いに協調しやすくなるでしょう。

実際には、対立が激しくて思うように進まないケースもあるかもしれません。しかし、子どもの視点に立てば、父母がそれぞれの役割を果たすことで得られる安心感や学習支援などの恩恵は大きいはずです。離婚後も、子どもが健やかに成長できるように父母双方が努力を続けることが、結果的には最も望ましい選択と言えるのではないでしょうか。

共同親権と共同養育の違い

共同親権は法律上の制度として、父母が子どもの親権を共有する仕組みを指します。一方、共同養育は法的な枠組みに限らず、離婚後も父母が協力して子どもを育てる実践的な概念です。両者は密接に関連していますが、厳密には重なる部分と異なる部分があります。

共同親権の場合、教育方針や医療行為などの重要事項を合意のもとで決めていくことが法律で明示されます。しかし、共同養育は法的強制力が必ずしも伴わず、父母の自主的な協力関係に依存する要素が大きいです。法改正によって共同親権が広がっても、実際の養育現場では共同養育をどれだけ実践できるかがカギとなります。

最終的には、子どもの幸福を目指すのが両制度の共通目的といえます。共同親権が機能していても、父母が対立していては子どもに悪影響が及びかねません。逆に、単独親権であっても共同養育をうまく進められるケースはありますので、家族の実情に即した柔軟な対応が求められるでしょう。

養育費が守られることにより、子どもが安心して過ごせるように

共同親権に関連する法改正により、離婚後も父母が子どもに対して法的に対等な責任を負うことで、面会交流や養育費の支払いがより確実に行われることが期待されます。しかし、DVや虐待のリスクが存在する場合には適用が制限されるなど、慎重な運用も必要であることは忘れてはならない点です。

養育費に関しては、標準額の提示や先取特権の強化などによって、子どもが安定した生活を送るための仕組みが整えられる見込みです。両親が協力しながら子どもの経済的な基盤を固める意義は、将来の進学や就職にも影響するかもしれません。

何よりも大切なのは、子どもの最善の利益を第一に考える姿勢です。法制度が整ったとしても、父母が互いの立場を尊重し、適切にコミュニケーションを図らなければ、共同親権や共同養育は十分に機能しません。これからの社会では、離婚後も相手を尊重、協力しながら柔軟な対応をし、子どもにとって最良の環境を整えることが求められるでしょう。

◆監修者:

佐々木 裕介/チャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所(第二東京弁護士会所属)
ホームページ:https://law-childsupport.com/

「失敗しない子連れ離婚」をテーマに各種メディア、SNS等で発信している現役弁護士。
離婚の相談件数は年間200件超。協議離婚や調停離婚、養育費回収など、離婚に関する総合的な法律サービスを提供するチャイルドサポート法律事務所・行政書士事務所を運営。

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