京都・先斗町の路地。足元に視線を落としたとき、石畳の目地が交わる位置に、小さな千鳥がデザインされた真鍮プレートがありました。行き交う人の足元で見過ごされてきた金属プレートの写真がXに投稿されると、8900超の「いいね」を集め大きな話題になりました。
投稿したのは、ポルトガルの地下鉄タイルを巡った書籍『メトロリスボン』の著者で、自身もタイル制作を手がけるmayumama(@ma_yumama)さんです。
実は2020年ごろから設置されていたというこの意匠。手のひらほどの菱形の枠の中に、丸みを帯びた千鳥が一羽ずつ収まり、落ち着いた金色が石畳にしっとりとなじんでいます。その愛らしさに「小さくてぽってりしたフォルムがたまらない」「何度も通っているのに気づかなかった」など、足元の発見に共感する声が続々と寄せられています。
普段から街中でタイルを探して歩いているというmayumamaさん。先斗町を訪れた際、まず目に入るのは、いずもやの壁面に使われた布目タイルだといいます。この日も同様に視線を向けていたものの、ふと足元に目を落とした瞬間、この千鳥プレートに気が付いたそうです。
「周囲の石のタイルと金属プレートの千鳥の組み合わせがタイル好きの自分に刺さり、粋でおしゃれなデザインだなと思い、写真に収めました」
プレートの質感についても魅力を感じたそうで、派手さを抑えた素材感が街の空気感と自然に調和している点が印象に残ったそうです。
「ピカピカした金色ではなく、落ち着いた輝きの真鍮のような金属がシックで、石畳とのバランスも良く、しっとりとした先斗町の町並みにも合っているなと感じました」
また先斗町のシンボルである千鳥が、看板など視界に入りやすい場所ではなく足元に配置されている点にも、このエリアらしい美意識を感じ取ったといいます。
「足元に小さな千鳥を散りばめるというのは、さりげなさと奥ゆかしさもある『先斗町らしい粋な演出』だと感じました。街歩きの中でふと足元に目を向けたときに気づく仕掛けになっている点にも、発見する楽しさがあると思います。特別華やかではないものの、先斗町の空間に自然に溶け込む風情がありますよね」
今回の投稿には多くの反響が寄せられました。
「先斗町は多くの人が行き交う場所ですが、地面は意外と見過ごされがちだと思います。2020年頃から設置されていたようですが、私も今回初めて気づきました。街歩きの中で出会うこうした小さな気付きはとても楽しく、それに多くの方が共感してくださったことをとてもうれしく感じています」
これまで国内外問わず、様々なタイルを巡ってきたというmayumamaさん。街歩きの際はタイル以外にも「発見の楽しさ」があるといいます。
「タイルは常に追いかけている建築装飾ですが、ほかにも金属装飾やガラス装飾、アイアンの手すりや門扉、ドアノブなど、手仕事の跡が感じられる装飾にも注目しています。」
mayumamaさんは、『メトロリスボン』以外にも、凝った建築装飾の多いヨーロッパで撮影したドアやドアノブをまとめた写真集『Doors』と『Doors2』を出版しています。