「白い目で見られていた『うさんくさい茶髪がいる』街の小さな接骨院」だった6年前。
たった1つのSNSの投稿で、「僕の人生は大きく変わった」。
東京都世田谷区でキックボクシングジムや接骨院を営むトレーナーの生井宏樹さん(@Palledo_namai)が、2019年にXに公開したのは現在80代の生徒さん。はたして、どのように人生が変わったのか取材しました。
人生を変えたのは、当時のキックボクシング受講者の中で最高齢だった女性の練習風景。はじめた頃は片脚立ちもふらついてできず。その後、週1ペースで約3ヶ月続けた姿でした。
しっかり手足を動かしパンチ&キックを繰り出せるように。表情も明るくイキイキとされています。
生井さんによるとこの動画投稿から、周辺からの印象がガラリと変化。「市民権を得るようになった。遠くからお客さんも、来てくれるようになった」とのこと。
「そのキッカケを与えてくれたのが、80代のお姉様。何も変わらず、淡々と今も通ってくれています」と今回再び直近の様子を投稿。
その動画からは、女性の姿勢や体型の変化、またパンチやキックのキレなど、さまざまな成果が見えます。2019年当時の状況含めて、生井さんに詳しくお話を聞きました。
「この見た目で、色モノとして見られていた感じが…」
――6年半通っているお姉様の変化がすごいですね。
ありがとうございます。コロナ禍の際も、特に変わらずレッスンされていました。
成長と呼ぶのか分かりませんが、身体の使い方や、筋力についての探究心が強くなっているように思います。
「この筋肉はどういう時に使うのか」「左右で均等に動かせているか」などご自身の身体と向き合いながら、取り組んでいらっしゃいます。ご自身に厳しく、上手くいかなかった時は悩むようですが、それも向上心かと思います。
――熱心に前向きに取り組まれてらっしゃるのですね。そしてこの方の投稿をきっかけに「人生が大きく変わった」と。
オープンした当初、一年ぐらいは、やはりこの見た目ですし、色モノとして見られていた感じはありました笑。
まぁ自分で選んだことなので、そこは良いのですが、資本金も底をつき、「僕は間違っていたのかな…」なんて思っていたくらいのタイミングで、このお姉様の投稿が反響を呼びまして、それにより各地からお客さんも来てくれるようになりました。
ただ、「人生が変わった」というのはその経営面の部分ではなく、「シニアキック」というものに、リハビリの可能性、予防医療の可能性を見い出せたことが大きいです。
今は使命感を持って、ご年配のかたにキックボクシングを薦めるような人生を歩んでいるのも、この投稿があったからだと思っています。
――周囲からも「市民権を得た」と。
これは肌感覚なのですが、一番はここの商店街、町内会においての、僕たちの立ち位置が変わったように思いました。
やはり「おかしなヤツら」と今まで思われていたようなところから、この投稿がキッカケで、テレビや雑誌の取材も来るようになったんですね。
そういったメディア露出のおかげで、「え?何?テレビに出たの?」みたいな感じで、向けられる視線が変わったように感じました。僕にとっての市民権は、一番は商店街で認められたことに尽きます。
――周囲からの見方が変わることで、ご自身の「生きやすさ」や「変化」などはありましたか?
僕は昔からこのような見た目を好み、学校でも、バイト先でも、親からも、ことあるごとに「髪が長い」「色を戻せ」「この時ぐらいは黒スプレーで」と、言われ続けてきた人生でした。
バイト先の集合写真では「写さないほうが良い」とまで言われたこともあります。
もちろん、それぞれの立場があってのお言葉で、それは理解できるのですが何度も言われた「それでは社会では通用しない」という言葉を、僕がトップになった際は、本当かどうか試してみたい部分があったんですね。
それで、なんとか今は、そのままの感じで「社会に認められている」と言えるところまで来たと思いますので、それは「生きやすい」と言えるのではないでしょうか。
――現在シニアクラスにはどのくらいの生徒さんが?
「パーソナル」、「1vs1」の形式でずっとやっていて、「集団クラス」でやり始めたのはここ一年なのですが、今は50名弱いらっしゃいます。「1vs1」で見ている70歳以上の方を含めると、70名くらいですかね。
――そんなにたくさんの方が!ちなみに、生井さんのビジュアルについてシニアクラスの方々は何か?
特に評価されたことも、コメントされたこともありません笑。良くも悪くも、いや良いことなんでしょうけど、ただ1人の人間として見てくれているのでしょう。
――みなさん身体的にはどのような変化が?
楽しんで運動して頂ければ、それ以上のことはないんですけど、皆さま動きが良くなっていきます。瞬発力が出せるようになっていくのが特徴的だと思います。
そして継続した運動により「骨密度が上がった」「五十肩が治った」「糖尿病の注射を打たなくて良くなった」など、ポジティブな報告を受けることが多くなりました。
これからも、「高齢者に予防医療としての運動を薦める、その選択肢としてキックボクシングがある」ということを変わらず伝え続けていきたいですし、そのために発信していくことが大事かなと考えています。
◇ ◇
今回の投稿に、
「実績が1つでも上がると見る目が変わるのですね。本当に、身体を動かすのって大事なのですね」
「えぇ!?これ同じお姉様ですか?下半身のフォルムが全く違う位かっこよくなってる。いや、上半身もか。素晴らしいです」
「ほんとカッコイイ女子~柔軟な思考の指導者もどちらもカッコイイ」
「途中のステップ踏むような軽い動きが出来てるのが凄い」
「姿勢、筋肉のハリ、体幹の安定、全てが若返って見えます!」
「『キック通ってみるか!』となったバイタリティまじですごい」
「教えかた優しいしミットがいい音するし楽しそうなのが伝わりますね」
と、ご覧になった方々もお姉様のトレーニング成果と生井さんの実績に称賛の声を寄せています。
お話を聞いて、生井さん自身が「一番自分らしい姿」で真摯に丁寧に取り組まれ、その結果が周囲からの信頼を生み、通われているみなさんの生きがいを作ってらっしゃることが本当に素敵だなと感じました。また、身体づくりをスタートするのに年齢は関係ないのだということも証明してくれているのではないかと。
キックボクシングというとハードな印象ですが、生井さんと生徒さんの姿を見ていると、「シニアキック」が身近に感じられるように。「私にもできるかも…」といろんな人の人生をも変えてくれそうです。
【生井宏樹さん関連情報】
■X https://x.com/Palledo_namai
■キックボクシングジム「PEACE PACE」Instagram https://www.instagram.com/peacepace.kickboxing
■キックボクシングジム「PEACE PACE」ホームページ https://peacepace.net/
■監修本『60代・70代からの不調と痛みに効く! キックボクシング・エクササイズ (コツがわかる本!) 』(amazon)