国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている京都市右京区の観光地に、地元の和文具メーカーが初めての実店舗を開いた。築100年超えの町家を改装し、昔ながらの技法で作られた友禅和紙の文房具や雑貨の魅力を国内外の観光客に発信する。
店内にはノートやメモ帳などの文房具をはじめ、筆箱やカードケース、扇子といった身近な小物類まで多様な和紙製品が並ぶ。定番の落ち着いた色合いのから、鮮やかなピンクが目を引くネオンカラー、男性でも手に取りやすいシックな色合いを基調とした柄とさまざまで「どれにしようかとお気に入りを選ぶ楽しさも味わってもらいたい」(担当者)としている。
京都市右京区嵯峨鳥居本にこのほどオープンしたのは、和文具専門店「ADASHINO HOUSE」(あだしのハウス)。同区に本社を置く和文具メーカー「尚雅堂」が手がける。同社は色紙短冊や和本の卸問屋として1964年に創業した。近年は職人が手捺染(なっせん)で染めた友禅和紙などを使った、朱印帳や和とじのノートといった和紙製品を中心に人気を伸ばし、国内や海外にも販路を拡大している。
これまでは展覧会でしか自社の商品を披露する場がなく「店舗でじっくり商品を選びたい」との声が多く寄せられていたことから、実店舗のオープンを10年ほど前から構想していた。
同地域一帯は小倉百人一首編さんの地としても知られ、同社が創業当初から販売を続けている短冊との縁も深い。松尾安浩社長は「嵐山にも近く、昔ながらの風情が残る場所。和紙製品にさらなる付加価値を与える文化の発信拠点にしていきたい」と力を込める。
営業は不定期。開店日時はあだしのハウスのインスタグラムから確認できる。