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万博で人気、目の前で作ってくれるツボ  陶芸家が「お役に立てるなら」無償で協力……「思い出が形になって嬉しい」「助かりました」

中将 タカノリ 中将 タカノリ

158の国と地域が参加し自国の文化を発信している大阪・関西万博

今、SNSではそんな万博参加国の一つ、チュニジアの陶芸家と日本の陶芸家による秘かなコラボレーションが注目を集めている。

チュニジアパビリオンでは開幕当初より足で蹴って回す蹴ろくろを用いた陶器の実演販売を実施。ただ期間限定という万博の特性上、陶器の焼成まではおこなっていなかったのだが、大阪の若手陶芸家、水上侑子さんがSNSで無料焼成を買って出てたのだ。

陶器は高温の窯で焼くことで初めて実用に適するようになる。まさに水上さんはチュニジアパビリオンで配布された陶器に命を吹き込んだと言うわけだ。

水上さんにお話を聞いた。

--焼成を買って出た経緯は?

水上:最初のきっかけは、フォロワーさんからの「焼いてほしい!」という一言でした。それまでチュニジアの陶芸文化については知らなかったのですが、調べてみると焼成が可能だと分かり、「少しでもお役に立てるなら」と思ってお引き受けしました。

窯はひとつの作品だけで焚くのは難しいので、作品を集めて焼かせていただこうと受付を始めました。始まりは軽い気持ちでしたが、人と人とのつながりから広がっていったのだと思うと、とても面白く感じています。

--大きな反響がありました。

水上:思いがけず大きな反響をいただいて、本当に驚きました。「無償ですが、保証もクレーム対応もできません」という条件を皆さんが快く受け入れてくださって、むしろ温かい言葉をかけてくださるんです。「思い出が形になって嬉しい」や「助かりました」とお言葉をいただき、自分の方こそ励まされているようで胸が熱くなりました。このサービスを通して出会った方々は本当に素敵な方ばかりで、人の優しさに触れるたび、「この経験は私自身にとっても宝物だな」と感じています。

--焼成にあたり心がけていることは?

水上:お預かりする作品は、その方の大切な思い出そのものです。だからこそ「少しでも長く手元に残していただけるように」と思いながら焼いています。欠けてしまった部分はヤスリで整えたり、普段なら難しい形のものも、できる限り釉薬をかけたり。小さな工夫かもしれませんが、最後までできることを精一杯させていただいています。

--チュニジアの陶芸文化に触れた感想を。

水上:国や文化は違っても「土を焼いて形を残す」という営みは同じなのだとあらためて感じました。当たり前のことですが、とてもうれしかったんです。陶芸という文化がどこにでも根付いていて人をつなげてくれることに幸せを感じています。

◇ ◇

思いがけず起こったこのコラボレーションにチュニジアパビリオン関係者はどう思っているのだろうか。チュニジアパビリオンディレクターのSami HASSENEさんにお話を聞いた。

ーー万博パビリオンで陶器を実演販売されている意図は?

HASSENE:チュニジアパビリオンでは、陶芸の熟練者がろくろでのライブデモンストレーションを行っています。訪問者は、粘土が形になっていく様子を観察でき、お名前をアラビア語で刻んだオリジナルの作品を受け取ることができます。その作業の中で、訪問者のみなさんに古代から伝わるチュニジア文化を身近に感じていただきたいと思っています。

ーー陶芸家による無料焼成サービスについてどう思われますか?

HASSENE:これでパビリオン訪問者にチュニジアの陶器を長年使っていただけるのでありがたいです。チュニジアの陶芸文化、伝統への大きなリスペクトを感じています。

ーーチュニジアの陶芸文化についてお聞かせください。

HASSENE:チュニジアの陶芸文化はカルタゴ、ローマ、アラブ、アンダルシアの影響を受けて形作られ、2000年以上にわたり世代を超えて受け継がれてきました。チュニジアの各地域にはそれぞれの色、スタイル、モチーフの陶芸文化があり、伝統と創造性が融合しています。チュニジアにとって陶芸は単なる技術以上のものであり、アイデンティティの生きたシンボルであり、日常生活を豊かな歴史に結びつける要素でもあります。

◇ ◇

今回のコラボレーションにより、より深まった日本とチュニジアの絆。文化が国境を越え人々を結び付けた好例だと言えるだろう。

なおチュニジアパビリオンで販売された陶器の無料焼成サービスは大阪・関西万博が閉幕する10月13日まで続行中。以降も1000円(税・送料別)で受付するということだ。ご興味ある方は水上さんが所属するたるぴ工房(大阪市生野区)Instagramの予約フォームからお問合せいただきたい。

水上侑子(みずがみ・ゆうこ)さんプロフィール
韓国済州島出身、1999年1月29日生まれ幼少期に来日し大阪で育つ。大阪芸術大学工芸学科で陶芸を学び卒業後は陶芸家、陶芸講師として活動。伝統やジャンルにとらわれない現代女性らしい瑞々しい感性の作風で知られる。2025年にたるぴ工房(大阪市生野区)プロデューサーに就任。
たるぴ工房所在地:大阪府生野区桃谷4-1-40 2階
Threads:https://www.threads.com/@dalbit_gonban
Instagram:https://www.instagram.com/dalbit_gonban/

ショップ:https://minne.com/@dalbit0811

体験予約フォーム:https://select-type.com/rsv/?id=dvXUwHYlVSo

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