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「私は妻と結婚できてラッキーです」「来世もまた妻と結婚したいです」…夫に毎日唱えさせる“感謝の呪文” 夫婦喧嘩を避けたい妻が編み出した衝撃ルール

松波 穂乃圭 松波 穂乃圭

家庭内でねぎらいの言葉が足りない――そんな悩みを抱えていた妻が、夫婦喧嘩を回避するために編み出したのは、夫に感謝の気持ちを繰り返し言わせるという独特の習慣でした。やや極端にも見えるこのルールですが、その背景には、夫婦関係における“思いやり”の欠如という課題が見えてきます。

家庭を顧みない夫と、限界を迎えた妻

神奈川県在住のR子さん(40代)の夫は、典型的な「家庭を顧みない夫」です。平日は終電で帰宅し、休日は趣味の登山や友人との飲み会、ジムでのトレーニングに出かけてしまいます。R子さんは、子ども二人をワンオペで育てる日々を送っています。

洗濯物の山を片付けながら「なぜ私ばかり?」と心の中でつぶやき、寝かしつけを終えた後の静けさの中で「この生活はいつまで続くのか」と途方に暮れることもあります。R子さんも働いていますが、夫に家事や育児を分担させようとしても、「ここを改善して」と伝えても、結局は改善できない人だと感じていました。そこで、夫を責めても不毛なら、自分が気持ちよくなる仕組みをつくろうと考えた末にたどり着いたのが、夫への「感謝の強制復唱」でした。

R子さんが夫に言わせているフレーズは、以下のようなものです。

「私はR子と結婚が出来てラッキーです」
「私の人生の一番のラッキーな出来事はR子と結婚したことです」
「来世もまたR子と結婚したいです」
「R子と結婚して人生が変わりました」
「R子ほどいい奥さんはなかなかいません」

ここまで並ぶと、まるでブラック企業の朝礼スローガンかという迫力があります。もうこれは家庭内「感謝セミナー」といっても大げさではありません。

この話を聞いたとき、筆者の脳裏に浮かんだのは「罰ゲーム?」「洗脳?」という言葉でした。

抵抗しない夫の不思議

驚くべきことに、R子さんの夫は特に抵抗もせず、素直に唱えているそうです。普通なら「ふざけるな」と拒否しそうな場面ですが、R子さんによると「唱えて家族円満になるなら、従う」のだといいます。

つまり夫にとって、この呪文は「家庭平和維持装置」。唱えるかどうかで妻の機嫌が左右されるため、欠かせない存在になっています。まるでスマホの充電のように、唱えなければ家庭のシステムがダウンする。想像すると、妙に納得できる気がします。

第三者から見ればギャグのように映るかもしれませんが、R子さんはいたって真剣です。「こうやって感謝させないと、この人は自分が恵まれているってわからない」と断言します。

もし夫が無自覚に家庭の恩恵を受けているのだとすれば、強制的にでも感謝の枠組みを叩き込むのは有効かもしれません。心理学でも「言葉に出すことで意識が変わる」とされており、「R子は最高の妻」と繰り返すうちに、その認識が夫の中に刷り込まれていく可能性もあります。

「うちでも言わせようかな」ですと!?

R子さんの方式は極端に見えますが、周囲の家庭を見渡すと「感謝を言葉で定期的に伝える」という習慣は珍しくありません。アメリカ人の夫を持つ別の友人は、夫婦で毎晩「今日感謝したこと」を3つ挙げ合うといいます。タイ人夫婦の家庭では、夫が贈り物と共に感謝の言葉を年中行事として伝える習慣があるそうです。

そう考えると、R子さんの「呪文」も文化が異なれば一つの夫婦円満術と見なされるかもしれません。ただし、他国の例と大きく違うのは、夫が自ら進んで言っているのではなく、衝突を避けるためにいやいや唱えている点です。

この話を聞いた別の友人たちも、「うちでも言わせてみようかな」と言い出しました。もし導入すれば、家事の合間に夫から「私はあなたと結婚してラッキーです」と聞けるのです。これほど精神的に効く“サプリメント”はないかもしれません。

とはいえ、導入にはリスクもあります。夫が棒読みで唱え続ければ「心がこもっていない!」と逆に不満が募る可能性があります。さらに「夜に呪文を言えばいいんだろ」と開き直られてしまえば逆効果です。この仕組みを機能させるには、妻側にも高いマネジメント力が求められます。

結局のところ、R子さんの家庭内ルールは、夫婦関係の深刻さを物語っています。「ありがとう」「助かったよ」といった一言が欠けていたからこそ、ここまで極端な方法に至ったのです。

食後に「おいしかったよ」、一日の終わりに「今日もありがとう」と伝えるだけで、妻の気持ちは大きく救われます。そんな小さな思いやりがあれば、呪文も洗脳も必要ないのかもしれません。

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