何これ?…「謎のカエル像」が教えてくれること 天王山で立ち上がり、街を見て引き返した2匹のカエルが伝える“江戸時代の教訓”とは

京都新聞社 京都新聞社

京都府大山崎町歴史資料館がある大山崎ふるさとセンターには、1991年の開館当初からひっそりと存在する銅像がある。立ち上がり話し合う2匹のカエル。現代アートを思わせる不思議な姿だが、町民にとっては同町ゆかりの昔話を今に伝える「おなじみの2匹」なのだという。

カエルは江戸時代後期の心学者、柴田鳩翁(しばたきゅうおう)の「鳩翁道話」に登場する物語に由来する。大阪から京都見物に来たカエルと京都から大阪見物に来たカエルが天王山で出会い、立ち上がって景色を眺めたというエピソードだ。

2匹は自分たちの住んでいる所と全く変わらない光景を見て引き返してしまう。カエルは頭の上に目があるため、背後にある自分たちの街が見えていたからだ。自分自身を知る大切さを説いているとされ、町歴史資料館の福島克彦館長は「経済的に強くなっていた大阪と京都が対抗関係にあったことも表しているのでは」と話す。

この銅像を作ったのは金属工芸工房「和銅寛(わどうかん)」(同町円明寺)の職人小泉武寛さん(80)。「他府県の人にもこの面白い話を知ってほしいと思い作った」と振り返り、町に寄贈したという。

センターには、ほかにも中世に栄えた「山崎の油売り」のレリーフや、交差するイチョウの葉で「ふれあい」を表現した銅像も。大山崎のユニークな歴史を伝える資料館の入り口でカエルたちが出迎えてくれる。

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