「増築に増築を重ねた結果、複雑怪奇な魔窟と化した鬼怒川廃旅館群。『見える建物、全て廃墟』という歪な絶景を集めてみた」
栃木県日光市にある鬼怒川沿いに建ち並ぶ廃業した旅館群を撮影した写真や動画が、X(旧Twitter)で話題になりました。
投稿したのは、全国各地の廃墟写真などを撮影しているtoshiboさん(@JIYUKENKYU_jp)。鬼怒川廃旅館群は、1990年代のバブル崩壊とともに、多額の投資で建設された数々の旅館やホテルの経営が立ち行かなくなり破綻、当時のまま廃墟と化したエリアです。
今回、鬼怒川に架かる滝見橋から一眼レフやドローンで撮影したとのこと。写真や動画には、季節によって変化する廃旅館群の景観がうつし出されています。そんな投稿には、鬼怒川温泉で過ごした思い出を語る人や廃墟となった現在の光景に感想をもらす人などからたくさんのコメントが寄せられています。
「社員旅行や忘年会の衰退で低迷していた熱海や伊香保がバエる温泉郷で復活する中なんでこんなになるまで手を打てなかったんでしょうか? 何度かお世話になった思い出あるので残念で寂しいです」
「バブル期の産物ですね」
「川っぺりに温泉とかプールとかあるのがバブルっぽさ醸し出してます」
「俺はこの近所に住んでいて、宿泊施設で仕事をしているのでいろんな話を聞くのですが、どうしても取り壊せない事情があるみたいですね。ただ、この撮影されている場所は思いのほか狭く、廃墟ホテル3棟だけです。そして注意して欲しいのが、内部に侵入する人がいることです。人の方が怖いですね」
「ここの凄いところが現状4件廃墟が連なっているけど、対岸のグリーンパレスも新たに長期休館、双相江葉大馬も夜逃げ?で新たに廃墟群に加わりそうなこと むしろ廃墟になる前に中国人に買って中国人専門旅館にしてもらった方が地元振興には良かったかも」
「奥鬼怒までの途中で見ましたけど廃れっぷりが半端ないです。営業してる所も多いんですがあの並びは辛いです」
多くの人たちをくぎ付けにした廃旅館群。撮影時のことを、toshiboさんに聞きました。
栃木・鬼怒川 投稿主「子どもの頃の記憶が特に残っている地域」 毎シーズン欠かさず撮影
――鬼怒川で撮影しようと思ったのは。
「子どもの頃からよく旅行で日光、鬼怒川温泉には行っていました。現在は主に廃墟を中心に写真を撮るようになりまして、中でも鬼怒川の廃旅館群は毎シーズン欠かさず撮るようにしていますが、子どもの頃の記憶が特に残っている地域だからではないかと考えています」
――廃墟を撮影されるようになって8年目とのことですが。鬼怒川の廃旅館群を撮り続けて、どう思う?
「何だかんだ長いこと撮影していますが、大きな変化はないように思えます。廃墟を廃墟たらしめる事柄は、確実にマイナスの理由しかないので、僕自身の感想はなるべく控えています。これが良いとも悪いともいえませんし。そういう考えもあり、なるべくこの廃墟とは向き合うようにしていて、それでいて長年撮り続けているのもあります」
――今後撮影してみたい場所、風景などは。
「今のところ、来年に発売する予定の新しい作品集向けの撮影ばかりになってしまっているので、何のしがらみもなく撮影で動けたらなんでもいいかもしれません、笑」
現在、toshiboさんが手掛けた初の作品集『ゲーム旅』を発売中です。「実在するゲームにありそうな世界を写真で見てみましょう」というコンセプトで作られた書籍とのこと。作品集について、toshiboさんは「『旅』というフレーズは活かしたいと考え、作品集ではあるけど“読み進めていく楽しさ”に注力して足してみては減らしてみてを繰り返し繰り返しレイアウトが完成しました。それともう一つ、いわゆる『廃墟写真集』ではない本が作りたいと言った考えが念頭にあり、今まで考えてたことや撮ってきた写真などオールインワンにな一冊になるよう試行錯誤しました」と話してくれました。