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飼い主が亡くなり、引き取った息子が脳梗塞で倒れて… 保護して猫に伝えたときに見た「忘れられない反応」

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

小学生の頃の疑問…処分されるのに、なぜ保健所に?

私が保護猫活動を始めたのは今から11年前。きっかけはマンションの野良猫問題でした。野良の子が子猫を数匹生み、その子たちを保護して里親さんを見つけたのが始まりでした。

小学生ころから私は、連れていったら処分されるとわかっている保健所に連れていける大人がいるのはなぜなんやろうとの疑問を抱いてきました。見てみぬふりする大人だけにはなりたくない。そんな思いがずっと根底にありました。

あるとき、当時所属していた団体がお年寄りの多頭飼育崩壊案件に関わり、30数匹のうち最後に残った5匹の行き場がどうしても見つからなかったんです。先輩らもたくさん猫を抱えていて、受け入れられないという状況だったため、私が引き取ることに。それがきっかけで保護猫シェルターを設けました。

その後もいろんな事情の子がやってきては卒業していきました。けがや病気で治療が必要な子、交通事故、虐待が疑われる子などもいました。飼育費や治療費などがかさみ、お金は出ていくばかり。収益をあげることを目指して5年前、猫カフェに移行しましたが、コロナの真っ只中でのオープンだったこともあり、運営はとても厳しくて…。

 

昨年(24年)秋ころ、経済的にも精神的にも限界を迎え、20匹以上いる猫たちの預かり先を探して店はもう閉めようか、というところまで追い込まれました。猫たちに「明日はもっと幸せになろな。明日はきっともっといい1日になるよ」と声をかけ続け、踏ん張ってきました。だけど、もし猫たちを手放したら、新しい環境に慣れるまでストレスを与えてしまう。悩み続け、どうしたらいいかわからなくなったとき、ふと電話したのが昔の職場の男性上司で、現在は保護猫活動をしている先輩でした。

「大丈夫やって。猫たちのために頑張ってやってるんやから、ええことも必ずあるはずや。俺も仲間も何かあったら助けたるから、心配すんな」 

その一言を聞いて涙が溢れました。ずっと誰かにその一言を言って欲しかったんだと思います。その言葉は、悲惨な状況から猫を救うとき、私が猫たちにかける言葉と一緒やったんですよ。その時の自分は、それこそ行くあてのない野良の子みたいやったから…。それで、まだもうちょっとは頑張れるかなと思い直しました。

 

もともと占いが好きだったこともあり、ずっと通っていた四柱推命の先生のもとでコロナ禍の2年間、修行し、いまはここでカウンセラーもしています。最近は仕事や恋愛、健康などの悩み相談に来られる方も少なくなく、鑑定が終わったあとは猫たちと触れ合うこともできるので「元気がでた」「また頑張れそう」とすごく癒されて帰っていかれます。また、2階にはジオラマ模型もあり、こちらは子どもたちに人気です。

 

今も資金繰りに悩む日々が続いていますが、いろんな工夫をしながら、なんとか経営を安定させ、1匹でも多くの猫たちが幸せな日々をおくれるよう、これからも頑張っていきたいです。

【店名】「保護猫かふぇ あすなろ」
【住所】兵庫県明石市西新町2丁目16-8
【ホームページ】https://catcafeasunaro.org
【インスタグラム】@aki.nitta.with.asunaro

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