街の至る所にあり、誰でも使うことができるコンビニエンスストアのトイレ。だが、マナー違反やトラブルが起きているという声は絶えない。「考えを変えるようなアイデア」を使ってコンビニエンスストアトイレの利用者マナー改善を図っている店舗がある。
ローソン嵐山谷ケ辻子町店(京都市西京区)。男女共用のトイレに入ると、目に飛び込んできたのは鮮やかなピンク。ドアの方を見ると「Thank You」と印象的な金色の文字が書かれている。
3年前からローソンが始めた「アートトイレ」という取り組み。トイレの個室内部の壁面にデザインを施すという試みだ。トイレを管理している店舗や利用している客への「感謝」をテーマに続けてきた。今年は京都府や広島県、愛知県など全国6店舗で展開し、現在は12店舗で実施している。
デザインは一般から公募して選出。嵐山谷ケ辻子町店は京都府で初めてとなるアートトイレで、2024年11月30日から利用を開始した。
名古屋工業大の小松義典准教授が学生と大学院生120人を対象に2014、15年に行った公共トイレの選択理由の調査によると「利便性」「清潔さ」を重視する人数は半数を超えていた。
京都府内のあるコンビニオーナーは「マナーの悪さはすさまじかった。注意をすると『コンビニのくせに』『入ることの何が悪いねん』『こっちは客やぞ』と罵倒された」と振り返る。女性客からの苦情が相次ぎ、スタッフの清掃回数は1日10回では済まず負担は大きかった。
アートトイレを実施した店舗では「きれいに使ってくれる人が増え、清掃の負担が減った」という声が聞かれ「一定の効果がある」と手応えを感じていた。小松准教授は「使う人の考えが変わるアイデアが重要だ」とローソンの取り組みを評価する。ローソン広報部は、「店員が維持管理をしていることを知って感謝の気持ちを忘れず、サステナブルにトイレを使ってもらいたい」と思いを込めた。