2022年10月にコロナ水際対策が本格的に緩和されて以降、インバウンドは増加し続けていますが、みなさんは訪日外国人に声をかけられた経験はありますか。国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)(東京都千代田区)が実施した「訪日外国人観光客へのおもてなし」に関する意識調査によると、約9割の人が訪日外国人観光客に声をかけられた際に「困った経験」があることがわかりました。では、困った理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
調査は、全国の20~50代の男女501人を対象として、2024年8月~9月の期間にインターネットで実施されました。
まず、「訪日外国人観光客へのおもてなしにおいて必要だと思うこと」を尋ねたところ、「コミュニケーション力」(41.9%)、「英語・英会話の取得」(40.5%)、「日本文化の知識」(36.5%)などが上位に並びました。
さらに、訪日外国人観光客へのおもてなしにおいて、全体の73.2%が「英語・英会話のスキルが必要だと思う」と回答しており、多くの人がおもてなしには英語・英会話のスキルが欠かせないと思っていることがうかがえます。
その一方で、70.2%の人が「英語が苦手」と感じていることが判明。その理由としては、「英語を話す機会がなく、自信がない」(58.5%)が最も多く、次いで「英語を聞き取る自信がない」(45.5%)、「語彙力に自信がない」(37.5%)が続きました。
また、全体の77.6%が「ここ1~2年で訪日外国人観光客を見かける機会が増えた」と回答。さらに、51.3%が「訪日外国人観光客から声をかけられたことがある」と回答していることから、誰しもが日常生活の中でおもてなしをする機会に遭遇する可能性がうかがえました。
そこで、「訪日外国人観光客に声をかけた、もしくはかけられた際の気持ち」を聞いたところ、65.1%が「嬉しかった経験がある」と回答し、「道に困ってたので、目的地まで案内をしたらとても喜ばれた」「拙い英語でも伝わり、お礼を笑顔で言われた」などのエピソードが寄せられました。
一方で、訪日外国人観光客に声をかけた、もしくはかけられた際に「困った経験がある」と答えた人は88.5%。その理由としては、「伝えたい単語が出てこなかった」(47.6%)、「流暢に話せなかった」(39.4%)、「聞き取れなかった」(35.8%)などが上位に挙がっています。
さらに、おもてなしをする上で「不安に感じていること」を教えてもらったところ、「英語・英会話スキル」(55.8%)、「コミュニケーション力」(55.8%)などに回答が集まり、英語・英会話のスキルに対して不安を感じている人が多いことがわかりました。
次に、「訪日外国人観光客へのおもてなしに関する意向」を聞いたところ、77.6%が「おもてなししたい」と回答。その理由としては、「楽しんでもらいたい」(47.6%)、「日本の魅力を感じてもらいたい」(45.5%)、「日本文化を理解してもらいたい」(36.0%)などが上位を占め、訪日外国人観光客を思いやり気遣う、おもてなし精神が感じられる結果となりました。
また、56.3%が「困っている訪日外国人観光客へ声をかけたい」と回答。そのうち、「自ら声をかけるか迷った」ことがある人は65.2%という結果となり、声をかけたいというおもてなしの気持ちがある一方で、迷うこともある様子がうかがえます。
「声をかけるか迷った理由」としては、「質問に対して答えられるかわからない」(46.2%)、「何を聞かれるかわからない」(45.7%)、「英語・英会話に自信がない」(40.2%)などが上位に挙がり、困りごとに対して自分が答えられるかどうか、不安に思っている人が多い様子が見て取れました。