「え?私の年金はこれだけですか?」年間91万円…50代シングルマザーが直面した現実 老後資金2000万円不足…今からどうすれば【FPが解説】

八幡 康二 八幡 康二

さまざまな事情で一人親となった人は、仕事に子育てにと忙しい日々を過ごしていることでしょう。子どもの進学費用に目途が立ち、ふと自身の今後を考えた時に年金の金額を見て驚いたという人も少なくないようです。もしも将来受け取れる年金の金額が少ない場合、どうすれば良いのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの加藤葉子さんに過去の事例を交えて話を聞きました。

ー実際に相談に来られた人の状況はどのようでしたか

相談に来られたのは50代の女性でした。大学生のお子様が2人、高校生のお子様が1人の4人家族です。一番上のお子様は下宿をしており、自宅を出ているという状況でした。

最初に相談に来られたのは、離婚をされたタイミングでした。お子様の学費をどうしたらいいかという相談だったのです。元夫からの養育費があったものの、一番上のお子様の下宿代の家賃や光熱費などの仕送りで養育費はすべて使うことになり、2人目、3人目の学費に回せる程ではありませんでした。

まず国の返済不要の給付型奨学金について正しい知識をつけて、2人目のお子様の大学費用を、3人目のお子様は民間の返済不要の給付型奨学金で、塾代などを支援してもらうようアドバイスさせていただきました。

お子さま3人ともそれぞれ大きな学費がかかりますので、相談者は熱心にアドバイスを聞いてすぐ手続きなどを実践し、1年後、無事に国と民間の支援を両方受けられるようになりました。

ー学費の問題が解消されたあとは、どうなりましたか

子育ての目途がつき、次に自身の老後について考えることになりました。相談者は現在、派遣で事務の仕事をしており年収は240万円ほどです。厚生年金には入っているものの、3人の子育て中は家事と元夫の仕事のサポートに専念していて働いておらず、自身の収入はありませんでした。

そこで、まずはご自身の年金を正しく知ることをお伝えしました。確認結果は予想年金額が年間91万円だったのです。その当時相談者は、持ち家に住まれていましたが、持ち家でもマンションの管理費や固定資産税・光熱費などはかかりますので、年金だけでは生活ができないという状況だと分かりました。

ー50代半ばでその現状を知るというのは厳しいですね

この相談者の場合、今後一人暮らしをする前提で家計の見直しをおこないました。マンションなので管理費、固定資産税、保険、光熱費など、年金と生活費を書き出していった結果、80歳までの生活だと約1,100万円の不足、90歳までだと2,000万円以上の不足があると分かったのです。

ー実際にそれだけの不足が判明して、相談者はどうされたのでしょうか

もともと無駄遣いが少なかったので支出を減らすのは困難でした。すぐに貯金が無くなるという状況ではありませんでしたが、このままでは老後の資金を貯めることは難しいので、まずは年金の追納を提案しました。

追納をすると、その分の節税効果が期待できるだけでなく、もらえる年金額も増えます。また残っている貯金を活用して、少しでも投資に回すことも提案しました。

それでも老後資金の不足分は解消されません。となると収入を増やすことを考える必要があります。スキルアップや資格取得をして、具体的な収入アップの金額をアドバイスさせていただき、かつ長く働けるお仕事をこの1・2年で見つけていくことをお話しました。

ー現状が見える形になり、相談者はどのような反応でしたか

もらえる年金額を知った時は「こんなに少ないのか」と驚かれていました。ただ不足額が明確になったことで、前を向いて頑張ろうという意欲を持たれたようです。下のお子様が大学受験なので、それが終わったらスキルアップや資格取得に取り組もうと仰られていました。

離婚などの事情で一人親になると、子育てなど目の前のことに追われがちです。自分の老後を横において、子どもに手がいっぱいになってしまうこともあるでしょう。そういう時こそ専門家に相談し、将来に向けた計画を立てていくことが大切です。

◆加藤葉子(かとう・ようこ)女性とシングルマザーのお金の専門家 NHKのコラム執筆を機に起業し、全国のママ向けにオンライン講座・男女共同参画センターなどの講師・FPの育成などを行っている。

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