「年収103万円の壁」を178万円に引き上げることに「賛成」は約6割――そんな調査結果が、紀尾井町戦略研究所株式会社(東京都港区)による調査でわかりました。また、103万円の年収の壁を引き上げると税収減になるとの指摘があることに対しては、「経済活動が活発になるので税収減になるとは限らない」という意見が多く見られました。
調査は、全国の18歳以上の男女1000人を対象として、2024年11月にインターネットで実施されました。
給与所得への課税額は、給与所得から控除額を差し引くため、給与所得103万円まで所得税がからない仕組みとなっています。この103万円の「年収の壁」を178万円まで引き上げる減税策についての賛否を聞いたところ、「賛成」が62.0%に上りました。
103万円の壁を178万円まで引き上げることに賛成した人を男女別で見ると、男性は6割台半ばだったのに対し、女性は5割台半ば。職業別では、医療・福祉関係職員等は10割、会社役員・団体役員、教職員がともに8割で続き、契約社員・パート・アルバイト等の人に限ると「賛成」は6割、「反対」はわずか1割台半ばでした。
また、103万円の年収の壁を引き上げる場合、「ふさわしいと思う金額」を聞いたところ、「150万円程度まで引き上げるのがふさわしい」(22.9%)が最多となり、次いで「178万円まで引き上げるのがふさわしい」(20.4%)、「178万円を超えて引き上げるのがふさわしい」(16.4%)が続きました。
さらに、「103万円の年収の壁を引き上げると税収減になる」との指摘に対しては、「経済活動が活発になるので税収減になるとは限らない」が31.7%と最多となりました。
また、「税収減になった場合の財源確保策」については、「無駄な支出をやめ予算を抜本的に組み替える」(58.0%)が最も多くなっています。
他方、パート労働者などの厚生年金適用要件を緩和して週20時間以上働いている人(約200万人)に厚生年金保険料を負担してもらう「106万円の壁」の廃止については「賛成」が50.7%を占めました。
また、現在、国民年金保険料を負担していない専業主婦などの「第3号被保険者」(約700万人)に新たに保険料を負担してもらう案に対しては、「賛成」が43.1%、「反対」が31.9%、「わからない」が25.0%となりました。
賛成した人を男女別に見ると、男性が4割台半ば、女性は3割台後半。年代別では、全体的に年代が高くなるにつれ増える傾向がみられ、職業別では、会社役員・団体役員が7割台でトップとなる一方、学生、専業主婦・主夫が2割台で最も低くなっています。
さらに、年間給与額が「130万円」を超えるとすべての人に国民健康保険や国民年金の保険料の支払いが発生する「年収130万円の壁」に対する「年間給与額200万円を超えるまで年収減を防ぐために国が補てんする仕組み」については、「賛成」が43.4%、「反対」は27.4%、「わからない」29.2%という結果になりました。