航空機を利用した際、女性の客室乗務員(以下、CA)が皆スカーフを巻いていることに気がつく。ファッションアイテムとしてだけでなく、何らかの実用性も兼ねているのだろうか。たとえばケガをした乗客に応急手当をする際の止血帯や、暴れる乗客を制止する際の捕縄の代わりなど…、想像が広がる。
全日本(ぜんにっぽん)空輸株式会社(以下、ANA)と日本(にほん)航空株式会社(以下、JAL)に聞いた。
採用理由は「ファッションアイテム」として
最も気になる実用性、すなわち止血帯や捕縄の代わりは想定されているのかについては、ANAもJALも否定している。
「創立30周年記念の1982年に、初めてスカーフを導入いたしました。制服のファッションアイテムのひとつとして導入しております」(ANA)
「導入時にデザインとして採用されたと聞いております。また、止血帯や拘束具としての使用については、弊社ではそのような用途として採用された記録は残っておりません」(JAL)
「制服の歴史-JAL客室乗務員」によると、JALがスカーフを取り入れたのは1970年7月に改定された5代目制服から。
▽制服の歴史-JAL客室乗務員
https://www.jal.com/ja/company/uniform/
巻き方に決まったルールは?
CAのスカーフはファッションアイテムとして採用されたようで、両社に共通しているのは「巻き方に決まったルールはない」ということ。サービスの妨げにならない巻き方を各自に委ねているという。ちなみにANAのスカーフは花柄ブルーと花柄ピンクの2種類あり、シルク100%で大きさは80cm×80cmの正方形。JALも素材と形はANAと同じで、大きさは公表していないそうだ。
では、CAだけがスカーフを巻いているのだろうか。
「グランドスタッフ、運航乗務員、ラウンジスタッフ、ANA FESTA店舗スタッフ、ANA DUTY FREE SHOP店舗スタッフが着用しております」(ANA)
「グランドスタッフおよび2020年より導入した女性用運航乗務員の制服にも、ネクタイの代わりにスカーフを使用しているデザインがございます。また、グランドスタッフは、役職や担当する業務によってスカーフの柄や色が異なります」(JAL)
▽スカーフの違い(JAL)
https://press.jal.co.jp/ja/release/201907/005234.html
役職によって色や柄が異なるならば、勤務年数などによっても異なるのだろうか。
ANAでは、勤務年数や職階によって色や柄に違いはないという。一方、JALでは先任(チーフ)とその他の乗務員ではスカーフの色(デザイン)が異なるそうだ。先任は白を基調としたスカーフ、その他の乗務員は一般用を着用するとのこと。
また、CAの制服はこれまで何度かデザインが改定されているが、スカーフのデザインも制服と同じタイミングで改定されている。
このような豆知識を持っていると、航空機を利用する際にスカーフの巻き方ひとつにも個性があることを発見したり、航空会社によってデザインの違いがあったりして、空の旅の楽しみが増えるのではないだろうか。
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