1972年に江崎グリコから発売されて以来、老若男女に愛されるデザート「プッチンプリン」。今、SNS上では、そんなプッチンプリンが「実はプリンではない」という疑惑が話題になっています。
「寒天が含まれるのでミルクと卵のゼリーでは?」「パンナコッタやババロアに近いのでは?」など多くのコメントが寄せられていますが、実際はどうなのでしょうか?プッチンプリンの製造元である、江崎グリコに聞きました。
ーー「プッチンプリンはプリンではない」という説がSNSで話題です。
担当者:いいえいいえ。プッチンプリンはプリンです。
ーー「プリン」には定義はあるのですか?
担当者:プリンに明確な定義はありません。プッチンプリンは、プルルンとした食感が特長のプリンです。プリンの一般的な材料である卵・牛乳・砂糖などを混ぜ合わせ固めたものが多いですが、プッチンプリンも同様に、餌にまでこだわった国産卵・生乳・砂糖、そして北海道産の練乳や生クリーム、バターなどを使用しています。さらに、こんにゃく粉・寒天なども使用し、プッチンプリンならではのプルルンとした絶妙な食感に仕上げています。
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プリンは一般的に、卵、牛乳、砂糖を主材料としたデザート。しかし江崎グリコが言うようにその種類は豊富。焼きプリンのように固めの食感のものからヨーグルトのように滑らかな食感のものまで形状、質感はさまざまあります。プリン研究家、プリンジャーナリストのプリン王子こと池畑孝資さんにも取材しました。
ーー池畑さんにとって「プリン」とは?
池畑:世間一般的には卵、牛乳、砂糖を使用したものがプリンと言われることもありますが、プリンに明確な定義はなく、それ故に無限の可能性があると思っています。
ここ最近は、卵、牛乳などの動物性原料を使用せず、豆乳やアーモンドを使用して作られた『植物生まれのプッチンプリン』(江崎グリコ)や、糖尿病の方でも食べられるラカンカやステビアなどの天然由来の甘味料を使用した『低糖質希少糖プレミアムバニラプリン』(パティスリー・ルヴェール)という商品も存在しています。材料として使用するものは違えどプリンとして作られ、多くの方に喜んでもらえている。これはもうプリンだと思うのです。何かで作られていなくてはプリンじゃないなどといった材料に縛られない自由度にこそ、プリンの可能性があると思っています。
ーー「プッチンプリンはプリンではない」という説については?
池畑:プッチンプリンも立派なプリンであると思っています。プッチンプリンにおいては1972年の販売から2013年までで51億個売れており、これはギネスにもなっております。全世界に「プリン」のおいしさ、魅力を知ってもらうことに大きな貢献をしております。「プッチンプリン」という名称で全世界の多くの方から親しまれているという事実。これは誰が何と言ってもプリンではないでしょうか。
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日本には食料品の成分、生産行程などを規定するJAS規格がありますが、そこにプリンの定義はありません。江崎グリコ、池畑さんのお話もふまえ、プッチンプリンがプリンでないとする説は根拠が弱いと言えるでしょう。プリンは定義がないデザート。それを強みに、今後全く新しい形のプリンも誕生するかもしれませんね。
なお、今回お話を聞いた池畑さんは、10月14日に、千葉県で開催される「木更津プリンフェスティバル」に審査員として参加します。地域の美味しい牛乳や卵を使った「木更津プリン」をご当地スイーツとして確立しようという意欲的な試みです。ご興味ある方はぜひ足を運んでください。
プリン王子(池畑 孝資)Xアカウント:https://x.com/takashiiiiicafe