幼稚園の娘の“話し方”に、お隣さんが「言うか悩んだけれども…」 助言に母感謝、幼少期の「構音障害」とは?

太田 真弓 太田 真弓

ちゃんと発音できない「構音障害」とは?

Makiさんの長女さんが診断された「構音障害」。ことばのオンライン相談室を運営している「ことばのサポートネット」によると、「発音の獲得がゆっくりで、“赤ちゃんことば”が長引く場合や発音に独特の癖が見られる場合などは『構音障害』の可能性があります。機能性構音障害は、発達などに問題がなくても、どなたにでも起こり得ます。稀に、病気が隠れている場合もあります。構音障害の多くは言語療法で改善することができます」とのこと。

ことばサポートネットさんに詳しくお話を聞きました。

不安に思ったらまずは言語聴覚士に相談を

――子どもの発音について、少しでも心配事があれば早めに相談したほうが良いのでしょうか?

「保護者の方が心配に思っている時には何歳であっても、まずはご相談ください」とご案内しています。発達の様子はお一人お一人違うので「〇歳なら〇〇ができなくては」とは言えない部分が多いです。

早すぎるということは決してありません。また、中には病気が隠れている場合もありますので、不安に思ったらまずは言語聴覚士のもとを訪ねていただければと思います。状態にもよりますが、年長になる前までにはご相談いただくことをお勧めしています。

――どういったきっかけが多いですか?

自治体の発達相談や健診でのご案内、医療機関などの言語聴覚士からのご紹介が多いです。子育て支援センターの先生から当法人への問い合わせ、園や学校の先生からの助言を受けてご連絡をくださる方もいらっしゃいます。

小学校中学年以上になると、ご本人からの訴えを受けて保護者の方が相談先を探してくださりご連絡をいただく場合が多いです。

――「発音練習」とは具体的にどういった練習を?

まずは検査を行って、上手に発音できている音と、不明瞭になっている音を明らかにします。そして、不明瞭になっている音がどのように誤っているのかを確認します。

例えば、“「す」が「しゅ」になる“というものがあります。原因として「す」をいうときの上顎と舌の位置関係(構音点と呼ばれます)がずれてしまっている場合があります(※人によって状態が違うのですべての方に当てはまるわけではありません)。

そのような場合には、正しい位置でまずは子音部分、すなわちローマ字で書くと“su”の“s”にあたる部分の音を作り、そこに母音を付けることで「す」の音を作ります。

――1つずつ音を作ることからスタートするのですね。

ただ、「す」と発音できたからと言ってすぐに「スイカを食べよう」と言葉を話す中で使えるわけではありません。そのため、一つの音をいう練習、意味のない音の並びの中で使う練習、単語の中で使う練習…と、段階を踏みながら日常生活で使うための練習を行っていきます。

これは一例ですが、同じ“「す」が言えない”状況であっても、音の誤りの背景はそれぞれ異なります。ある子の練習方法が別の子に当てはまるとは限らず、お一人お一人に合わせてプログラムを作成して取り組んでいきます。

――医療機関への受診を勧めることも?

「練習のみで改善が可能な構音障害」と「医療機関での治療が必要な構音障害」があります。当法人の場合は、初回の相談時に医療機関での治療が必要と思われる場合には受診をお勧めしています。また、かかりつけの医療機関と連携を取りながら、当法人で発音の練習をされている方もいらっしゃいます。

「訓練で改善できる構音障害」と「手術で改善できる構音障害」は違いますので、まずはそれを判断するためにも言語聴覚士にご相談いただければと思います。言語聴覚士は、病院ですとリハビリテーション科や口腔外科、耳鼻科などに所属していることが多く、地域の子育て相談を担っている保健所や療育センターにも所属しています。そこで手術が必要となった場合には手術可能な医療機関へと繋いでくださると思います。

放置すれば、「からかい」につながることも

――こちらでは初回20分無料のオンライン相談を行ってらっしゃるのですね。

ちょっとした心配事でもお気軽に尋ねていただけるよう、ことばに関するあらゆるご相談を随時受付中です。

初回相談では言語聴覚士がビデオ通話による問診・診療を行い、必要に応じて支援先やご家庭でできることを案内しています。必要性がある場合は、当法人での発音練習(有料)や継続相談の利用が可能です。

――まずは相談してみることが大切なのですね。

発音が未熟でも、明瞭でなくとも、話の内容には価値があり、音の誤りや歪みは咎められるべきものではありません。一方で、発音の問題はただ言いたいことがスムーズに伝わらないというだけではなく、「からかいやいじめに発展する」「本人が伝えることを諦めてしまう」「自分に自信がなくなる」などの問題につながる可能性があります。

ことばサポートネットの目標は、発音の心配事に言語聴覚士がいつでも寄り添える体制を作ることです。どこにいても、言語聴覚士による専門的な援助が受けられる体制づくりを目指し、オンラインで言語療法を提供しているほか、社会への啓蒙活動にも力を入れています。

必要な方が、適切に言語聴覚士等の専門家につながることのできる体制が整うことで、発音のことで辛い思いをしたり、病気を見逃されたり、大人になるまで悩んでいたりする方々を減らすことができるのではないかと考えています。 

◇      ◇

この投稿に、
「うちの息子も同じでした。発音がケンタッキーと言ってるつもりが、えっ、洗濯機?みたいな。保育園の最後の年に園にきた専門の先生でやっとわかりました」
「小学生になった息子が指摘されています…気にした方がいいんだと思いました」
といった子育て中だと思われる方々からのコメントのほか、
「小さいうちの方が本人が生きやすくなります。色んな機関、専門家を頼るのはいい結果を生む事が多いですよ!」
「未就学児の言葉の訓練を行っていました。他者から指摘されると、怒ったり、認められずに、相談機関に繋がらないことがあります。お隣さんからのお話を受け入れて、相談されたこと素晴らしいと思います」
などアドバイスを受け止め行動したMakiさん親子への称賛の声も届いています。

我が子のこと、とりわけ発達のこととなるとセンシティブな部分であり、特に近しい人からの言葉はなかなか聞き入れづらい部分があるかもしれません。大切なことを引越しの日に伝えてくれたお隣さん、その言葉をきっかけにその後も気にかけ、専門機関に相談したMakiさんお二人の関係性と行動が、現在長女さんが困ることなく生活できていることに繋がっているのだなと感じました。

また、ことばの困り事に悩むすべての方々に寄り添うため活動されている「ことばサポートネット」といった団体があるということを知っておくだけでも心強いものです。子どもの発語や発音に不安のある方、大人の方でもご自身やご家族の発音に悩みのある方など、ぜひ一度相談してみてはいかがでしょうか。

■MakiさんThreads https://www.threads.net/@mini_maki_0707

【一般社団法人ことばサポートネット関連情報】
■ことばの相談ご利用案内 https://www.kotoba-support-net.org/general-5
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