スーパーマーケットやコンビニエンスストアで牛乳を手に取ったつもりなのに、持ち帰ってから気づく「これ、牛乳じゃなかった!」というミス。誰もが一度は経験しているのではないだろうか。実は「外見」で簡単に見分けるポイントがあった。
500ml以上の紙パック牛乳にはひと目で分かる目印が
結論からいうと、上部が屋根型の紙パック牛乳を見分けるポイントがある。パックの上端につけられた「切り欠き」である。成分無調整の牛乳にだけ、扇形の切り欠きが付けられているのだ。
切り欠きのサイズには「半径2.5mmまたは6.5mmとし、位置は開口部の反対側(一般社団法人日本乳業協会ホームページより)」といった規格もある。
対象となる容器は500ml以上の家庭用・屋根型容器で、切り欠きを付けることは義務ではなくメーカーの任意とされている。そういうわけなので、切り欠きを牛乳の目印とするも、付いていないからといって必ずしも「成分無調整の牛乳ではない」とはいえないのが悩ましいところ。当たり前のことになるが、パッケージの表示も併せて見るようにしよう。
牛乳パックといえば一般に屋根型の紙パックをイメージされがちだが、株式会社明治(以下、明治)では、外観が箱型で、新鮮な生乳のおいしさを追求するために広口キャップ付きの「新鮮こだわりパック」を採用しているそうだ。
成分によって種類が分かれる牛乳類
ひとくちに「牛乳」といっても、成分によっていろいろな種類がある。牛乳類のうち「牛乳」と名前がつくのは「牛乳(成分無調整)」「成分調整牛乳」「特別牛乳」「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」の5種。ほかに、成分として牛乳とは一線を画す飲料に「加工乳」と「乳飲料」がある。
これらの成分と味わいの違いについて、森永乳業株式会社(以下、森永乳業)に聞いた。
▽牛乳(成分無調整牛乳)
パック上端に切り欠きがある牛乳。
原料は成分無調整の生乳すなわち搾ったままのお乳のみで、成分を調整していないもの。生乳以外の水や他の原材料を混ぜてはならない。
例:森永のおいしい牛乳……牛乳本来のコクがあり、のどごしにキレがある(コクがあるのに後味すっきり)。
▽成分調整牛乳
生乳から水分、乳脂肪分、無脂乳固形分等の一部を除去して成分を調整したもの。
例:まきばの空……生乳を100%使用し、脂肪分だけを調整することで、生乳のもつコクを活かしながらもすっきりとした味わい。
▽特別牛乳
特別牛乳搾取処理業の許可を受けた施設で搾った生乳を処理して製造。無脂乳固形分8.5%以上、乳脂肪分3.3%以上。森永乳業の商品例はない。
▽低脂肪牛乳
生乳から乳脂肪分を除去し、乳脂肪分を0.5%以上1.5%以下にしたもの。
例:森永のおいしい低脂肪牛乳……生乳を100%使用。まろやかな味とすっきりとした後味。
▽無脂肪牛乳
生乳からほとんどの乳脂肪分を取り除いて0.5%未満にしたもの。森永乳業の商品例はない。
▽加工乳
生乳に脱脂乳、脱脂粉乳、濃縮乳、クリーム、バターなどの乳製品を加えたもの。主に乳脂肪を少なくした低脂肪タイプと、成分を濃くした濃厚タイプがある。
例:森永のおいしい高たんぱく高カルシウム……コップ1杯(200ml)にたんぱく10g、カルシウムは牛乳の1.5倍。脂肪ゼロなのにコクがある。
▽乳飲料
生乳または乳製品を主原料に、乳製品以外を加えたもの。ミネラル、ビタミンなどを加えた栄養強化タイプ、コーヒー、果汁、甘味などを加えた嗜好タイプなどがある。
例:PREMiL……栄養にこだわり、1本(720ml)で35gのたんぱく質、牛乳の2倍のカルシウム、シールド乳酸菌を配合。
余談ながら、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしやすい人は、乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」の分泌が少ないため、大腸で水分量が増えたりガスが発生したりするため。お腹のゴロゴロを防ぐには、数回に分けて飲んだり、牛乳を温めて飲んだりするとよいそうだ。
最後に、牛乳を飲むことのメリットを両社に尋ねた。
「牛乳は各種の栄養素を含んだ、準完全栄養食品といわれています」(明治)
森永乳業も「栄養価が高く、日々の食生活の中で、おいしく健康にお役立ていただけるものと考えています」と、毎日の食卓に取り入れて料理にも活用してほしいとのことだった。
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▽株式会社 明治
https://www.meiji.co.jp/
▽森永乳業株式会社
https://www.morinagamilk.co.jp/