車は20年乗れる!?…整備士が教える、愛車を長持ちさせるメンテナンス術

村田 創(norico by ガリバー) 村田 創(norico by ガリバー)

車を20年以上乗る際のメンテナンス

車を20年以上乗るために必要となるメンテナンス・交換部品について解説します。

▽定期的な油脂類の交換

エンジンオイルに代表されるように、車にはブレーキフルードやエンジン冷却水(LLC)といった、定期的に交換が必要な油脂類が使われています。

油脂類は使用過程でかならず劣化します。劣化したままの油脂類を使い続けていると部品の寿命を縮めたり、傷めたりすることにつながります。

20年以上車に乗り続けるためには、定期的な油脂類の交換という基本なメンテナンスは最低限必要なことです。

▽定期的な油脂類以外の消耗品の交換

定期的に交換が必要なのは油脂類以外にもあります。分かりやすいところで言うと以下のようなものです。

・タイヤ
・エアエレメント
・ブレーキパッド
・スパークプラグ
・バッテリー 等々…

油脂類と同じく、定期的な交換が必要なのは劣化や摩耗が進むためです。よって、交換を怠っていると車の健康維持に支障をきたしたり、余計な整備や部品の損傷を招く恐れがあります。

▽ゴム製のブーツ類の交換

車にはさまざまな箇所に、ゴムブーツが使われています。ブーツの中にはグリスが封入され、人間で言うところの関節にあたるようなボールジョイントを保護しています。こうしたブーツ類は破れていると車検に通らないものも多いです。

走行距離の多い・少ないに関わらずゴム部品は劣化していくので、20年以上乗るとなると各所、一度は交換する必要が出てくるでしょう。

(例)タイロッドエンドブーツ、ロアアームブーツ、サスペンションのダストブーツ、ドライブシャフトブーツなど。ブーツのみの交換ができるものから、部品を丸ごと交換しなければいけないものもあります

▽エンジン補機類の寿命

補機類には、エアコンコンプレッサーやオルタネーター(発電機)、油圧パワステの車であればパワステポンプ等があります。

こうした補機類も長年使い続けていると寿命を迎えたり、故障のリスクが高まってくるので、20万kmを目指すとなると一度は交換の必要が出てくる可能性があります。

予防整備として交換することは少なく、基本的には壊れたら交換する部品です。

▽サスペンションのリフレッシュやヘタり

長く乗り続けるためには、サスペンションのリフレッシュも重要です。

ダンパーからオイル漏れが発生すると、車検に通らないので交換が必須となりますが、見た目には分からなくても、サスペンション類は走行距離が増え、年数が経過すると劣化します。

劣化すると乗り心地の悪化や運動性能の低下につながるので、20万km以上を目指すのであれば、10年/10万kmを目処に、ダンパーやマウント、アーム類といったサスペンション一式のリフレッシュができるとベストです。

▽ハイブリッド車やEV車のバッテリー

ハイブリッドバッテリーやEVバッテリーも、使用過程において劣化するので、20万kmまでに一度は交換する必要が出てくるでしょう。

充電容量の低下や、場合によっては警告灯が点灯するので、それが交換の合図です。

▽ブレーキ廻りのリフレッシュ

長く乗るためにはブレーキのリフレッシュも大切です。

普段はブレーキパッドのみの交換で対応可能な消耗品の交換も、距離が増えるとディスクローター側の摩耗も進むので、摩耗限度に近づいている場合には交換が必要です。

また、ブレーキ廻りのシール類も劣化などによってブレーキフルード漏れが発生するリスクが高まってきます。こういった要因により、以下のような部品の交換や整備が必要になってきます。

・ブレーキャリパーのオーバーホール、または交換
・ホイールシリンダーのオーバーホールまたは交換
・ブレーキホースの交換
・ブレーキマスターシリンダーのオーバーホールまたは交換

タイミングベルトやクラッチの交換

国産車ではすでに新車として販売されている車でタイミングベルトの車はありませんが、年式の古い国産車や今でも一部の輸入車ではタイミングベルトという部品がエンジンの駆動のために採用されています。

5〜10万kmごとの交換が推奨されていますが、ゴム部品なのでヒビ割れが発生していれば、距離が少なくても10年前後で交換するのがベストです。

また、最近では少なくなったマニュアルトランスミッションの車や一部のAT車(スズキのAGSなど)に採用されているクラッチも消耗品のひとつです。おおむね数万km〜10万km程度で交換が必要になります。

ただし、運転のシチュエーションや技術によって交換時期が大きく変わってくるので、20万km走行して一度も未交換という事例もあります。

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