1997年の第一作出版を皮切りにさまざまな形でメディアミックスされ世界的人気小説となった「ハリー・ポッター」シリーズ。
今、SNS上ではそんな「ハリー・ポッター」が日本でいうところのどんな名前なのか推理する投稿が大きな注目を集めている。
「『ハリー・ポッター』という名前はイギリスでどういう響きなんだろう、と長らく疑問だった。『神宮寺流星』なのか『山田一郎』なのか。意外とわからん
フォロワーさんが教えてくれた語源やランキングの知識を用いていま当てはめたところ、『小倉亮』『瀬戸大介』『有田聡』の感じだった。かなり良い」
と紹介したのはピン芸人として活動する九月さん(@kugatsu_main)。
「ハリー・ポッター」が「小倉亮」…これは果たしてどういうことなのだろうか。
九月さんに話を聞いた。
ーーハリー・ポッター=「小倉亮」「瀬戸大介」「有田聡」と判断した経緯は?
九月:小さい頃からずっと「ハリー・ポッター」という名前の響きが英語圏でどのように響くのか気になっていたんです。だって「神宮寺流星」か「山田一郎」かで、受け取り方が変わってくるじゃないですか。そのことをたびたびツイートしていたところ、複数のフォロワーさんから「名字ランキングを参考にしたら小倉かも」「ポッターの語源はお皿を焼く職人」「ハリーは昔からよくある男の子らしい名前」など教えてもらって。また、調べたところハリー・ポッターは1980年生まれの設定だそうなんですね。それらを参考に、名字や名前のランキングを調べ、条件を満たしそうな名前を探したところ「小倉亮」「瀬戸大介」「有田聡」にたどり着いたんです。
ーー長年の疑問が晴れ、今の心境は?
九月:すごくすっきりしましたね。神宮寺流星じゃない、山田一郎じゃない、僕の愛した魔法の物語の主人公の名は、友達みたいな名前だったんです。なんだかすごくうれしかったです。だって、「瀬戸大介」なんて中学のクラスメイトみたいな名前じゃないですか。ハリー・ポッターにかつてない親近感が湧いた瞬間でした。
ーー投稿への反響について。
九月:かなりの人に読んでいただきました。眠れない夜に一人でする遊びのような内容がこんなにも読まれ、うれしいような恥ずかしいような気持ちです。ちなみにですね、こうも読まれると、どうしても心無い誹謗中傷とかも来るかなと身構えていたんですが、それ以前に今話題の「インプレゾンビ」が大挙をなしてやって来たんです。
ーー押し寄せるインプレゾンビには
九月:「アズカバンの囚人」のラストを思わせる展開でした。もしもハリーがいたら、守護霊の呪文でインプレゾンビを一掃してくれたんでしょうが。あいにく僕はマグルなわけで、インプレゾンビをかき分けて具体的な反響を調べました。するとだいぶ好評といいますか、多くの人に楽しんでいただけたのがわかったんです。それを見て、呟いて良かったなって思いました。だって最近のSNSって、殺伐とした話題が多いじゃないですか。多くの人にとってタイムラインの箸休めになったようですから、今後もたまにこういうスキマ産業的な投稿をしていけたらなと思っております。呪文は使えないですけど、適当なことならいくらでも言えるので。
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読者のみなさんの「ハリー・ポッター」像は「小倉亮」とマッチしただろうか?
なお今回の話題を提供してくれた九月さんは昨年8月に初のエッセイ集「走る道化、浮かぶ日常」(祥伝社)を出版。またYouTubeチャンネル「九月劇場」にはネタ動画が1000本以上公開されているので、ぼんやり日常的な物事を空想したような九月さんの世界観に興味を持たれた方はぜひチェックしていただきたい。
九月さんプロフィール
1992年生まれ、青森県八戸市出身。京都大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修士課程修了。事務所無所属のピン芸人として、一人芝居風のコントを中心に活動中。劇場、アートギャラリー、バー、民家、廃墟、山、海など、全国各地で場所を選ばずコントライブを行なう。
Twitterアカウント:https://twitter.com/kugatsu_main
YouTubeチャンネル「九月劇場」:https://youtube.com/channel/UC04k7X9-GZapcoL0PKNqvww
初のエッセイ集「走る道化、浮かぶ日常」(祥伝社)発売:(リンク)