問題です「乾電池、オセロ、自動改札機、ドリア、お子様ランチに共通するものなーんだ?」  

松田 義人 松田 義人

円安が続き、2024年の世界GDP(国内総生産)ランキングでは前年の3位から4位にランクダウンした日本。各国に追い上げられ追い抜かれているように思える昨今ですが、興味深い一冊が刊行されました。

『ニッポンはじめて物語 世界初·日本初のヒット商品を生んだ開発者の熱き魂』北辻利寿·著(発行:東京ニュース通信社、発売:講談社)。日本発祥にして世界中で使われるようになった品、あるいは発祥こそ違えど日本が進化させた品を数多く紹介しています。

カッター、シャーペン、自動改札機、ビーサン…全て日本発

本書で紹介されている「日本発祥」の品は実に多岐にわたりますが、特に興味深いものは以下の品々です。

胃カメラ・お子様ランチ・カッターナイフ・乾電池・オセロゲーム・ごきぶりホイホイ・コロコロ・ドリア・自動改札機・シャープペンシル・使い捨てカイロ・点字ブロック・ビーチサンダル・プラスチック消しゴム・マッサージチェア・レトルトカレー 他

乾電池、オセロゲーム、ドリアの誕生秘話を詳しく見てみましょう。

【乾電池】雪国育ちの時計職人が発明

本書によれば、乾電池を発明したのは新潟県長岡市出身の男性。東京の時計店に丁稚として働き始めた後、地元に戻り、電池を組み込み時計を動かす構造の「電気時計」を発明。

しかし、それまで主流だった液体電池が使われていたことから、液体がこぼれたり、冬場には液体が凍結。これを改善するために液体を固めて漏れないようにし、さらに金属ケースで包み込み、1887年に世界初の乾電池を誕生させました。

「『乾電池』を手にしながら、凍てつく寒さの雪国で生まれた一人の時計職人に思いを馳せてみる。その開発への心意気がなければ、世界で最初となる乾電池は生まれなかった」(本書より)

【オセロゲーム】戦後の中学生が発明

「世界中の愛好者の数が6億人ともいわれる人気ゲーム『オセロ』。実は戦後まもない頃の日本、青空の下で友だちと遊んでいた一人の少年のアイデアから誕生した」(本書より)

オセロゲームを発明したのは、終戦直後に13歳を迎えた茨城県水戸市の中学生。学校の休み時間に、白と黒の碁石を使い後のオセロの原型となるゲームを考案しました。

少年はやがて成人となり結婚。少年時代に考案したゲームを妻に教えたところたちまち夢中に。後に試作品を玩具メーカーのツクダに持ち込み採用され、1973年に「オセロ」の名で商品化。瞬く間にヒットとなり世界中で親しまれるようになりました。

【ドリア】名門ホテルのスイス人シェフが考案

ドリアもまた日本発のメニュー。考案したのは横浜の名門ホテルの料理長で、スイス人シェフでした。

1930年頃のある日のこと、外国人銀行家の顧客からメニュー以外の注文が入りました。聞けば「体調が良くないので、何かのど越しのいいものが食べたい」と言います。

そこで同シェフが即興で作ったのが「バターライスに海老のクリーム煮を乗せ、グラタンソース、さらにチーズをかけオーブンで焼いた」もの。まさしく今日のドリアそのもので、以降このホテルの名物メニューになりました。

「横浜の名門ホテルで生まれた『ドリア』は、日本全国に広がっていく。ホテルではワイル(シェフ)の下で数多くの料理人たちが学んでいたが、ワイルは自らの技術を惜しみなく伝授したそうだ」(本書より)

人気ラジオ番組の人気コーナーの書籍化

本書では、この他にも「日本発」の品々に加え、外国発でありながらも日本のメーカーなどが進化させた品々のストーリーを紹介しています。その数70品目。読み応えのある一冊になっています。担当編集者に話を聞きました。

「本書は、名古屋のCBCラジオの人気番組内の企画の書籍化です。リスナーから『企画内容を一冊の本にまとめてほしい』という要望が多く発行となりました。日本の技術者たちの商品開発にかける熱い物語の数々をわかりやすく丁寧に紹介しています。小さなお子さんにも読んでもらいたいので、なるべく平易な文章を心掛けました。『モノづくり大国·ニッポン』の底力をぜひ本書で実感してください」(担当編集者)

本書を読めば日本のものづくりにかける情熱を再認識できるはず。ぜひご一読ください。

『ニッポンはじめて物語 世界初·日本初のヒット商品を生んだ開発者の熱き魂』北辻利寿·著(発行:東京ニュース通信社、発売:講談社)
https://www.amazon.co.jp/ニッポンはじめて物語-世界初·日本初のヒット商品を生んだ開発者の熱き魂-TOKYO-NEWS-BOOKS/dp/4065350425

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