想定を上回る数の「観光客」と「ゴミ」
釜玉うどんさんが今回投稿した動画に対して、「カラスが荒らしたゴミです。観光客のせいじゃない」といった声も見受けられた。だが、歩道に溢れ出す大量のゴミは、持ち帰り用の飲料のカップや酒の缶、割り箸や弁当容器など、明らかに「観光客」が出したゴミだ。
また、ゴミ箱の設置数を増やせという声もあったが、八坂神社から祇園四条駅に至る約1キロの歩道には、左右の歩道にそれぞれ4~5基ずつ、数箇所にわたりゴミ箱が設置されている。つまり、通常の観光客の数を想定した数が設置されているにも関わらず、設置されたゴミ箱から大量のゴミが溢れ出しているということは、訪れる観光客のマナー低下に加え、京都市内中心部には今、想定を上回る数の観光客が集中している、ということになる。もはや観光客の数もゴミの量も市のキャパシティをはるかに超えており、明らかにオーバーツーリズム状態だと推察できる。
現在、大量に排出され散乱した祇園のゴミは、釜玉うどんさんの投稿した動画「祇園の惨状 1」にも映っているが、地域住民の方々が「ボランティア」で清掃し、自費でゴミ出しを行なっている。
大量の観光客が来ても「京都市」は儲からない!?
祇園に限らず、人気の観光エリア「嵐山」の公衆トイレなども現在、観光客が排出したドリンク容器やオムツなどのゴミが大量に散乱するなど、ひどいあり様だという。
驚きべきことに、溢れ返るゴミの量から推察されるすさまじい数の観光客が続々と入洛しているにも関わらず、京都市は相変わらず財政難が続いている。
そもそも京都市は学生や高齢者が多く、納税義務者の割合が少ない。さらに、近年開店した観光客向けの飲食店や宿泊施設の多くは、中国などの海外や東京などの京都以外の資本。また、インバウンド拡大による宿泊施設の建設ラッシュ、外国人による不動産取得急増による市内地価や市税の高騰などで、子育て世代を中心に大量の人口が転出。そのため、市民からの税収が低下し続けていることなど、京都市の赤字財政の背景には、長く続いた門川大作前市長在任時の失策による多くの要因があげられる。
令和6年度から新たに松井孝治京都市長が就任し、オーバーツーリズム緩和に向け、土日祝日のみ運行される「観光特急バス」の導入が発表された。だがこれでは平日の混雑は解消されず、観光による税収の増加も期待できない。
2025年、今の倍以上のインバウンド客が来集
「今来てる外国人観光客の大半は富裕層ではなく、金は無いが円安の恩恵を受けている連中。京都に来ても銭を落とさない」というコメントも寄せられていたが、実際、京都市内を訪れる訪日客の多くは、タクシーやレストラン、高額な土産物には目もくれず、公共交通機関に大型のスーツケースを複数持ち込み、海外資本の施設に宿泊し、海外資本店のテイクアウト商品を食べ、ディスカウントショップで海外製商品を買い漁っている。
円安を武器に政府は、「さらなる高みを目指す」として、2025年度までに、累計2500万人を突破した2023年度の倍以上となる6000万人ものインバウンド客を目標にしている。増え続ける観光客の数に伴う税収増加も混雑緩和の対策も見込めないまま、今の倍以上もの大量の訪日客が押し寄せる未来に、穏やかで美しい京都は存在しない。