明治時代の英単語帳、「LOVE」の訳が素敵な感性だと話題に 「皇族のお名前でよく見る」「他の単語も気になります」

渡辺 陽 渡辺 陽

明治時代の英単語帳、皆さんはご覧になったことはあるでしょうか。千種創一さん(@chigusasoichi)は、その中のある言葉に感銘を受け、Xに投稿しました。

「明治時代の英単語帳、Loveの訳を「仁」(じん)と書いてあって、いとしすぎる」

(出典:英字訓蒙図解 復刻版 神田外語大学創立記念)

リプ欄には、

「よく皇族の方のお名前にも使われてますよね。ラブの意味もあったか」

「他の単語も気にならずにはいられません」

「論語に『仁は愛なり』という定義があるので、間違いとは言い切れん」

などさまざまなコメントが飛び交い、「いいね」は8万件にもなりました。

『砂丘律』『千夜曳獏』『イギ』などで知られる歌人・詩人の千種創一さんにお話を聞きました。

ーー「仁」という和訳に惹かれたのは。

「日本語の愛という漢字には性愛の意味も混ざってしまっているので、愛を仁と訳した方が正確な場面もあるだろうと思いました」

ーーイギリス英語の発音だというコメントもありますが。

「僕は言語学者でも何でもありませんが、water [米wˈɔːṭɚ, wάṭɚ 英wˈɔːtə]をオートルと表記しているのはともかく、love [英米ともlʌ'v]をローブと表記してしまっている点は的外れで、おそらくローマ字読みからの憶測でそう書いているだけです。もしくは著者が英スコットランドや米南部など、特殊な地域の出身者に英語を習ったか、などの事情があると想像されます」

ーー間違っているところもありますか。

「全体を見ると間違いも散見され、この英単語帳を全面的に信頼することはできません。会話のネタくらいに捉えて下さい。ただ、当時の日本人の苦労は十分に伝わる一冊だと思います」

当時の日本人が、ひとつひとつの言葉の意味や発音を丁寧に書き記した単語帳。その言葉が持つ本質的な意味が分かるというところも魅力的な書物です。

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