「なにこれ…?」ゲーム好きな高専生息子、「宅配便を受け取るため」の発想力と技術力の高さに驚き

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「家のインターフォンに何かぶら下がっている。聞くと高専生の長男が『人が来るとDiscordにメッセージが飛ぶ』ようにしたらしい。ゲームで荷物に気づかないと怒られるからと。技術力の無駄遣いw」

「日本科学未来館」(東京都江東区)にて副館長を務める高木啓伸さん(@hirotakagi)。この度、高専生の息子さんに関するX(旧Twitter)の投稿が、およそ10万のいいねがつく話題となりました。

ゲーム好きだという高木さんの息子さん。ところが、ゲームに熱中していると、家に荷物が届いたりしてインターフォンが鳴っても気づかず、後で怒られてしまうことが度々あったそうです。

そこで、息子さんは高専生として学んだ技術を駆使して、こんな装置を制作しました。

インターフォンに電子回路の基板がつながっています。

息子さんによると、インターフォンが鳴った際に、Discord(※アメリカが開発したコミュニケーションサービス。ゲーマーの方がよく利用している)に「インターフォンがなりました」というメッセージが表示されるよう設定したとのこと。

確かに、これでゲームに夢中になっていても、訪問者に気づかないことはありませんね。斬新な息子さんの発想に、Xのリプ欄にも驚きと称賛の声が多数寄せられました。

「将来有望」
「自分で考えて、自分で作って、自分の役に立っている。もう立派な技術者やん」
「こういうの自分で作れる方本当に尊敬します!」
「こういうの欲しかったんです。ヘッドホンやイヤホンしながら映画を見ていたりするとチャイムに気が付かなくて」
「もっと簡素化してキットとして売れるんでは」
「そういうインターフォンが発売されるかも、発想がすばらしい」
「技術ってこういうとこから生まれるんですね」

一方で、「基板がむき出しなのが気になるので、ケースなどに入れて欲しい」というような、少々辛口な指摘もありました。しかし、これも息子さんの有能さを踏まえての助言といえるでしょう。

すごい装置だけど…一体どのような仕組みなの?

学生でありながらも、学んできた技術を駆使して、素晴らしい装置を作り出した高木さんの息子さん。ですが、専門外の方には、一体どのくらいすごい技術なのか、いまひとつピンとこないかもしれません。

そこで、この装置の具体的な仕組みについて、高木さんにおうかがいしました。

高木さんによると、もともとインターフォンには、鳴った時に電子回路を起動するための端子があるといいます。息子さんは、ネットで見つけたインターフォンの説明書を参照しつつ、その端子からケーブルを伸ばして、「ESP32」という汎用のマイコンでその電圧変化を読み取るようにしたそうです。

このESP32にはWi-Fiが内蔵されており、インターネットに接続できる機能があります。それによって、インターフォンの電圧が変化すると、ネット上のDiscordのAPIが呼び出され、メッセージが送られる仕組みなのだとか。

説明でもたくさんの専門用語が飛び交い、やはり高度な技術。しかしながら、高木さんの息子さんは、「非常に簡単にできる」と話しているとか。改めて、息子さんのすごさが分かります。

父として、技術者の先輩として、子に願うこと

高木さんにさらにお話をうかがいました。

――現在高専生という長男さんですが、小さい頃はどのようなお子さんでしたか?

高木さん:小さいころからレゴが得意で、ものづくりが好きな子供でした。高専は私が薦めたのですが、電子工学科に進んで、こうした電子回路づくりが好きになったようです。

――ゲームもお好きなのですね。

高木さん:ゲームはいわゆるFPS(First-Person Shooter。操作するキャラクターの視点でプレイするビデオゲームのこと。一人称視点シューティングとも)が好きで、友達と通信でやっていることも多いようです。

――現在もこの装置はインターフォンに取り付けているのですか?「ケースに入れて欲しい」といったコメントもありましたが、外観に変化は?

高木さん:ゲームをしている時は取り付けているようです。まだ外装はありません(笑)。

――技術者の先輩として、息子さんの取り組みをどのように評価されていますか?

高木さん:エンジニアは、自分の得意なスキルを楽しみながら伸ばすことが重要だと思うので、こういう電子回路が好きなのであればどんどん取り組んでほしいです。私はIT系の研究者を長くやっているのですが、電子回路は苦手でマイコンのプログラミングもやったことがありません。今はマイコンにしろスマホにしろ、非常に高機能でかつ開発がしやすくなっているので、いい時代だなと思います。そういう意味では子供が羨ましいです。

――奥さまはの反応は?

高木さん:はじめ(装置を見て)悲鳴をあげましたが、スマホの画面に通知が飛ぶのを見ると大笑いしていました。「壁が傷ついた」などといろいろ言っていましたが、楽しそうではあるので、私と同じく好きなことを突き詰めて、スキルを身につけて仕事にしてほしい、と思っているのではないかと。

  ◇  ◇

理解ある両親に恵まれながら、自由な発想でものづくりを行っている息子さん。ぜひ、これからもその技術を高めていっていただきたいです。

また、同じく技術者である父親の高木さん。現在、視覚障害者の方を目的地まで誘導する自立走行型ロボット・AIスーツケースの開発に携わっています。

最後に、IT系研究者であり、日本科学未来館・副館長を務める高木さんより、メッセージをいただきました。

「小学生から大学生、またそれより上の大人でも、興味のある人は気軽にどんどん技術を使った工作に挑戦してほしいです。今は本当に良い時代で、ちょっと前では到底考えられなかったようなことが、簡単に安くできるようになっています。そして、ぜひ日本科学未来館に遊びにきてください!最新のロボット技術の展示など盛りだくさんでお待ちしています!」

■高木啓伸さんのX(旧Twitter)はこちら
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