「オルカンとS&P500ってどっちがいいの」新NISAが始まり、なにに投資をしていいか迷っている人も多いです。投資を始めたばかりの人がとくに注目する投資先であるオルカンとS&P500について悩むAさんの話に注目してみましょう。
Aさんは50歳の専業主婦。子育てがひと段落して、老後に向けて資金を貯めたいと思っています。最近新NISAが始まり独自で研究したところ、オルカンとS&P500が気になっていました。
「オルカン」とは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のことで、国内・海外先進国・新興国すべてを含む「全世界の株式」を投資対象とするインデックスファンドです。オルカンは全世界の株式に投資ができます。投資している国の比率をみるとアメリカが圧倒的に大きいですが、世界の株式市場の比率に基づいた結果です。
今後アメリカの株式市場が縮小するとアメリカへの投資比率は小さくなり他の国の比率が大きくなる可能性は十分にあります。またコストが低いのも特徴です。購入時と解約時の手数料がかからないのはもちろん、ランニングコストとしてかかる費用は、信託報酬は0.05%程度です。
一方S&P500とは、アメリカの代表的な500社に投資をする投資信託です。S&P500はアメリカの代表的な500社に1本で分散投資ができるのが最大のメリットです。またオルカン同様に、信託報酬が0.06%程度であることも大きなメリットになります。
オルカンとS&P500の違いは、オルカンはアメリカだけではなく全世界の代表的な企業に分散投資ができるため、よりリスクが抑えられます。対してS&P 500はアメリカの企業に限定しているため、オルカンに比べると投資対象が少ないです。ただしS&P 500はアメリカ企業の成長とともに大きな値上がりが期待できるのがメリットになるでしょう。
このような特徴のあるオルカンとS&P500ですが、どちらに投資した方が良いのか迷っている人も多いはずです。そこでFPの鳥居佳織さんに聞きました。
「安定的に増やしたいか」「ある程度リスクが取れるか」で判断を
――オルカンとS&P500のどちらが老後資金を貯めるのに良いのか教えてください。
リスクレベルを見るとオルカンの方が低いため、安定的にお金を増やしたいのであればオルカンが良いでしょう。一方ある程度のリスクが取れる方は、S&P500で大きな利益を狙うのも良いかもしれません。
――老後資金を投資で貯める場合の注意点を教えてください。
老後資金を投資で貯める場合の主な注意点は2つです。まずは短期的な値動きに一喜一憂しないでください。株価は短期的に見ると大きく下落することがよくあります。大きく下落をすると不安に思うかもしれませんが、長期で見ると上昇傾向にある場合が多いので一喜一憂しないようにしましょう。
もう一つの注意点は、投資を行う際は必ず余裕資金で行ってください。すぐに使うお金で投資をしてしまうと、下落局面でお金が必要になってしまった場合でも解約せざるを得ません。当面利用しないお金で投資をしましょう。
◆鳥居佳織(とりいかおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。