乗り継ぎ時間に勉強できる!駅のホームに設置された冷暖房、電源完備の自習室が「天才か」と話題 誕生の裏には社長の熱い思いがあった

黒川 裕生 黒川 裕生

列車が行き来するホームにあるのは待合室…ではなく、学生向けの「自習室」!? 新潟県の「えちごトキめき鉄道」の取り組みが、受験シーズン真っ只中の今、熱い注目を集めている。通学の隙間時間を利用して勉強できる上、何より乗り継ぎの列車に遅れたりする心配がほぼないのが、ありがたいじゃないですか。SNSでも「天才か」「羨ましいなあ」「こういういいアイデアや取り組みどんどん広まれ」と大きな反響を呼んだこの自習室、一体どのように生まれたのか。えちごトキめき鉄道に取材した。

この自習室がにわかに脚光を浴びたのは、2023年末のこの投稿。

「この直江津の自習室、できたときほんと天才かって思った
地方の高校生ってほんと駅で待ちぼうけするし、なんやかんや学校と家以外の自習スペースってなかなかないからな
ほんとこれ地元の高校生重宝しとると思う」

東京の鉄ヲタ大学生を名乗る「光寺」さん(@nampusinp)の投稿には、直江津駅の自習室の写真が。「ホーム上の自習室」というありそうでなかった取り合わせに、「良すぎ!」「駅に自習室って発想がなかった」「受験生頑張って」と驚きや激励の反響が広がった。

同鉄道によると、ホームに自習室があるのは直江津駅と新井駅。直江津駅は2020年4月、新井駅は2023年2月から学生向けに開放している。直江津駅は同鉄道の妙高はねうまラインと日本海ひすいラインが乗り入れる拠点駅で、高校生の利用も多いという。

「通学風景を見ておりました鳥塚亮社長が『この学生の皆さんに将来、広い世界に向けて大きく羽ばたいてほしい。そしてこの直江津駅で次の電車を待つ時間に自習室で勉強した事も思い出にしてもらいたい』と発案し、熱い思いを込めて設置することになりました」と担当者。ちなみにこのホームには待合室が2つあったが、1つは古く、使用していない状態だったため、これをリフォームして自習室にしたそうだ。

机や椅子、ホワイトボードが備えられた室内は冷暖房完備。各席に電源も設置されている。防犯カメラもあり、中の様子は駅改札口で職員が確認できるようになっているという。飲食は禁止で、部屋を使い終わった後の清掃や整理整頓は学生の自主性に任せている。

担当者は「コロナ禍のスタートでしたが、学生の皆さんには当初からご活用いただいており、現在も乗り継ぎ時間などにお使いいただいています。心配していた酔客やいたずらなどに関しては、“利用は学生のみ”というルールが共有されており、今のところトラブルはありません。学生の皆さんには、大変喜んでいただいていると受け止めています」としており、「今後も末長くご利用いただき、駅で勉強したことを青春の思い出のひとつにしていただければ幸いです」と話す。

なお、新井駅の自習室は、近くの新潟県立新井高校の生徒たちから要望の声が上がり、地元市議会議員が駅長に働き掛けて実現したという。こちらも冷暖房、電源完備となっている。

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