「老後に備えながら、節税を狙ったはずが…」個人年金保険で控除が受けられない!? 40代男性が見落とした“条件”とは【FPが解説】

八幡 康二 八幡 康二

個人年金保険料控除の注意点

――上記のような条件を理解しておけば、これから契約する人は安心ですね。

ただし注意点もあります。例えば専業主婦(主夫)が契約者の場合、被保険者と年金受取人は契約者自身ですが、保険料は配偶者が支払うことになります。このように設定すると、保険料は配偶者の税控除の対象となります。また保険料を支払う人と年金を受け取る人が異なるため、年金が支払われ始めると贈与税がかかる点に注意が必要です。

――誰が保険料を支払うのかも考えておかないといけないんですね。

ほかにも個人年金保険料税制適格特約は、無料の特約ですが、制限があります。

個人年金保険料控除を受けるためには10年間の保険料払込みが必要で、その期間内に払済保険に変更することはできません。払済保険とは保険料の払込みを中止し、変更したときの解約払戻金を一時払の保険料に充当して今までの契約の保険期間を変えずに保障額の少ない保険に変更できる制度です。

――途中で保険料の支払いが厳しくなっても払済保険に変更できないと、解約することになってしまうかもしれないですよね。

また通常、積立配当金はいつでも引き出すことが可能です。しかし、個人年金保険料税制適格特約が付いている場合、保険料の支払期間中には配当金や返戻金が支払われることはありません。この場合、配当金や返戻金は基本年金額に加算され、将来年金として受け取る形になります。

個人年金保険料税制適格特約のみを途中で解約することはできないため、特約を付加する際には理解しておきましょう。

――では、無理をして高い保険料で個人年金保険に加入すると、リスクがあるのでしょうか?

はい、その通りです。個人年金保険料控除の有無にかかわらず、無理な保険料は早期解約のリスクもあります。多くの個人年金保険は早期解約してしまうと元本割れにつながります。

また個人年金保険料税制適格特約は一度加入すると途中で解約できませんが、条件を満たせば途中で付加することが可能です。そのためご自身の経済状況を考慮して無理のない保険料で加入を検討することが大切です。

   ◇   ◇

◆鳥居佳織(とりい・かおり)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大手生命保険会社にて8年間勤務。保険コンサルティングでは個人、法人、問わず生命保険や損害保険を幅広く販売。金融ジャンルの専業ライターとして活動中。金融全般に関するさまざまな相談に応じてきた経験があり、実体験ベースでの執筆が得意。主に保険、年金、資産運用など幅広く執筆している。

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