「老後に備えながら、節税を狙ったはずが…」個人年金保険で控除が受けられない!? 40代男性が見落とした“条件”とは【FPが解説】

八幡 康二 八幡 康二

みなさんは個人年金をご存知でしょうか。個人年金保険とは、60歳や65歳といった一定の年齢まで保険料を積み立て、その後は積立金をもとに年金を受け取るといった仕組みの保険です。

個人年金保険に加入していると、生命保険料控除の1つである個人年金保険料控除が受けられます。生命保険料控除とは、払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額が保険料負担者のその年の所得から差し引かれる制度で、所得税、住民税の負担が軽減される制度です。

老後資金の準備を考えていたAさんも個人年金保険料控除を知り、保険契約しました。

ところがAさんは個人年金保険料控除が受けられませんでした。Aさんは「個人年金保険に加入しているのになぜ控除が受けられないの?」と納得がいきません。

個人年金保険に加入していたのに個人年金保険料控除が受けられないこともあるのか、保険に詳しいFPの鳥居佳織さんに聞きました。

   ◇   ◇

【Aさんの状況】

・居住地:東京都在住
・年齢:40歳男性
・職業:会社員
・個人年金保険の契約内容:200万円の一時払いで契約

個人年金保険料控除が受けられない場合もある

――老後資金を準備したいと考え、個人年金保険に加入すると節税できると聞き、検討しています。しかしAさんのように、個人年金保険に加入していても個人年金保険料控除が受けられない場合があるようです。本当なのでしょうか?

はい、その通りです。個人年金保険に加入したからといって、必ず個人年金保険料控除が受けられるわけではありません。

――では、どうすれば個人年金保険料控除が受けられるのでしょうか?

個人年金保険料控除を受けるためには、個人年金保険料税制適格特約を付加する必要があり、付加するためには以下の4つの条件を満たす必要があります。

1.年金受取人は、保険の対象者(被保険者)と同一であること
2.年金受取人は、保険料の払い込みをする本人またはその配偶者であること
3.保険料払込期間が10年以上あること(一時払いは対象外)
4.年金の種類が確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上であること

個人年金保険料控除を受けたいと思って個人年金保険に加入する場合、上記の条件を満たしているか確認することが大切です。

また個人年金保険料税制適格特約が付加されていない場合や変額個人年金保険を契約している場合は「一般生命保険料控除」の対象となります。

――なるほど。Aさんは「一時払い」の契約だったので個人年金保険料控除の対象外だったのですね!

そうです。Aさんの場合は一時払い契約のため、個人年金保険料控除ではなく一般生命保険料控除となってしまったわけです。一般生命保険料控除の場合、ほかにも生命保険に入っている人であれば、すでに上限額に達している場合もあるでしょう。そのためAさんは個人年金保険料控除を狙ったのだと思いますが、狙いが外れたかたちになります。

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