自分でものづくりや修繕に取り組む「DIY」。ただ、家作りなど規模が大きくなってくると、なかなか一般の人が自分だけで取り組むのは大変なようです。
趣味のDIY
Iさん(30代男性、東海地方在住、住宅メーカー勤務)の趣味はDIYです。
今住んでいる家の机や収納など、家にある家具はほとんどIさんがDIYで作ったものです。ただ、賃貸住まいでは家は自由にできないので、趣味を広げられないなと悩んでいました。
家を購入しようかとも悩みましたが、まだ独身ということもあり、そんなにお金をかけてマイホームを購入する決断もできずにいました。
そんな時に、古民家をDIYで直して住むという、動画を見つけました。住宅メーカーに勤めていることもあり、内容もある程度は理解でき、「これなら自分でもできるかも?」と思いました。
地方であれば、古民家はとても安く販売されています。海辺の近くであれば、別荘として使えるかもしれないとも思い、実際に物件を探してみることにしました。
古民家探し
実際に古民家がどれくらいあるのか、インターネットで調べてみました。調べてみると、意外と多く販売されていて、何件か問い合わせして見せてもらうことにしました。
内覧した古民家は状態がとても悪く、「とても一人では修繕は難しいな」と思うものが大半でした。
しかし、その中でもまだ状態は良く、自分でも修繕できるイメージがつく物件を見つけました。その物件は、海辺にも近く庭もあったので、完成したら友人や家族を招待してバーベキューなど楽しめそうだと思いとても気に入りました。
金額は土地込みで300万円と安く、貯金もあったので現金で購入しました。
綺麗に整備したら、もしかしたら賃貸で貸し出せるかもしれないとも思い、実用の幅を考えるのも楽しく、俄然やる気があふれました。
思った以上にかかる費用と時間
購入手続きも終わり、実際に作業を開始しました。DIYには自信はあったので電気工事などの資格が必須なもの以外は自分でしようと思っていました。
しかし、始めてみたら様々な苦労がありました。まずは家屋の中の片付けです。ここの古民家は残置物があり、まずはそれらを処分する必要がありました。
わかっていた作業ではありましたが、それらを軽トラに乗せて運び出すだけで、一苦労でした。
床など古い部分を取り替えようと剥がしてみると、中の木が腐食していて、まともに使える状況ではなかったり、雨が降った日は雨漏りがひどく、そこの修繕も必要でした。ネズミやゴキブリがいることも分かりました。
そういったトラブルを見つけるたび、対処にコストがかかります。思った以上に費用と時間がかかってしまいます。
本業も忙しいので修繕ができるのは休みの時のみです。古民家まで、今住んでいる地域からは車で1時間半かかります。行き帰りだけでも時間が取られ、DIYは先が全く見えない状況です。
全く計画性なく購入してしまったことを、Iさんは今はとても後悔しているといいます。結局、“素人”一人では難しいと痛感し、今は知り合いの大工の人に手伝ってもらいながら修繕作業を進めているそうです。
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こういった問題は起きやすい事なのでしょうか? アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介も担当している川本麻登さんに聞きました。
安心して住む家を作るためには、プロに手伝ってもらいながら進めて
ーー古民家改修は最近多くなっているのでしょうか。
今は、古民家カフェなども増えてきてとても人気ですよね。古民家の雰囲気を残しつつ、綺麗にリノベーションされたお店の様子は素敵ですが、やはり工事中にはさまざまな苦労があったと思います。住宅としての古民家改修も多く行われていて、私が担当したお客様からご依頼頂いたことはありました。
ーー古民家をDIYで改修できるものなのでしょうか?
いわゆる素人の方だけで、DIYでの改修をすすめるのは難しいと思います。プロと一緒にしたほうがよいでしょう。たとえば、解体をするときに「構造的に壊していけないところ」を壊してしまったら倒壊する恐れもあります。解体の際に廃材も多くでます。そういった処理も一般の方お一人では難しいです。安心して住む家を作るためには、プロに手伝ってもらいながら進めていきましょう。
◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター
https://alphahomenagoya.jp/