大河ドラマの新作「光る君へ」が、いよいよ1月7日よりスタートする。脚本は"ラブストーリーの名手"と称される大石静さん。"世界最古の女性文学"と言われる「源氏物語」の作者・紫式部の生涯を描いたストーリーで、華やかな平安貴族の世界や「光源氏」のモデルとも言われる藤原道長との関係など、どのように描写されるかが巷の話題に上っているようだ。
筆者が切り込みたいのは、今回の大河出演陣の"顔の濃淡"について。そう、今回の大河ドラマは紫式部役の吉高由里子、藤原道長役の柄本佑ら主要キャストはじめ、岸谷五朗、吉田羊、黒木華、ファーストサマーウイカ、ユースケ・サンタマリアなど、いかにも和風の大和男児、大和撫子といった顔立ちの俳優がキャスティングされているのだ。その見事な「塩顔」「しょうゆ顔」っぷりは、近作の「どうする家康」「鎌倉殿の13人」「青天を衝け」などと較べれば一目瞭然。
【「光る君へ」主なキャスト】
紫式部/まひろ:吉高由里子、藤原道長:柄本佑役、藤原為時:岸谷五朗、ちはや:国仲涼子、藤原惟規:高杉真宙、藤原兼家:段田安則、時姫:三石琴乃、藤原道隆:井浦新、藤原道兼:玉置玲央、藤原詮子:吉田羊、藤原定子:高畑充希、源倫子:黒木華、高階貴子:板谷由夏、清少納言:ファーストサマーウイカ、安倍晴明:ユースケ・サンタマリア、藤原実資:秋山竜次、藤原穆子:石野真子、藤原頼忠:橋爪淳、藤原宣孝:佐々木蔵之介
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たしかに平安美人と言えば面長のうりざね顔で、目は一重の切れ長、鼻、口は小ぶりでひかえめがよしとされている。今回のキャスティングにもそういった"時代考証"は影響しているのだろうか。俳優でメイクアップアーティストの三枝雄子さんに話を聞いた。
ーー顔の濃淡がキャスティングの基準になることはあるのでしょうか?
三枝:もちろんあります。わかりやすい例だと、映画「テルマエ・ロマエ」の時も阿部寛さんら演じるバタ臭い顔だちのローマ人と上戸彩さんら演じる「平たい顔族」(日本人)の対比が話題になりました。冗談か本気かわかりませんが、阿部さんはイタリアの方たちの間でも「ローマ人にしか見えない」と話題になったそうです(笑)。
ーー今回の「光る君へ」のキャスティングについてどう感じますか?
三枝:吉高由里子さんはあのグレードの女優さんの中ではめずらしいほどあっさりした顔立ちです。十二単が違和感なく似合っておられて素敵ですよね。もし吉高さんありきのキャスティングだったとしたら、柄本佑さんがあのポジションに来たのもうなずけます。お二人とも実力ある方なので、どんな形で平安貴族の世界を表現してくれるのか楽しみですね。
助演では玉置玲央さん、ファーストサマーウイカちゃんが印象的です。お二人とも華も実力もあって、特にウイカちゃんは完璧な平安顔です。屏風絵から飛び出してきたような、日本人ナットクの美しいお顔だちだと思います。
ーー個人的にはロバート秋山(秋山竜次)さんの出演も印象的でした。彼もインパクトはあるけどよく見ると平安っぽい顔立ちですよね。
三枝:「クリエイターズ・ファイル」で多様なキャラクターを演じている通り、薄いお顔立ちの中にいろんな表情を秘めておられますよね。秋山さんは普通の役者さんとは違った豪快さやオーラのある方なので、今作でどのような役割を果たされるのか楽しみです。
ーーよく誤解されるけど、「薄い顔=地味」ということではないんですね。
三枝:そうですね。私もベースは和風の顔立ちですが、メイクのしようで濃くも薄くもなる便利な顔だと思っています。
今回のキャスティングされたみなさんはお気づきでしょうが、役者にとって薄い顔に生まれたことはとてもラッキーなことだと思いますね。
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「光る君へ」には塩顔、しょうゆ顔の俳優たちの魅力を心ゆくまで堪能できる、胃もたれしない大河ロマンを期待したいものだ。
◆三枝雄子(さえぐさ・ゆうこ)1969年生まれ。兵庫県佐用町出身。大阪芸術大学短期大学部デザイン学科彫刻専攻卒業。グラフィックデザイナーを経て25歳で俳優デビュー。サスペンスドラマで存在感を発揮し「サスペンスドラマの名わき役」と評された。主な出演作に「父さんは森に隠れる」(NHK)、「土曜ワイド劇場『京都B級グルメ殺人メニュー』」(ABC)、「水戸黄門」(TBS)など。
▽公式ホームページ
http://www.mc-kikaku.jp/talent/160
▽Twitterアカウント
https://twitter.com/ten_okamichan
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【NHK大河ドラマ「光る君へ」】
▽公式ページ
https://www.nhk.jp/p/hikarukimie/ts/1YM111N6KW/