「女性限定マッチングアプリ」が活況、広告打たずマッチ数20万件突破…開発者「母の悩みも開発のきっかけ」

小森 有喜 小森 有喜

友達作りを目的にした女性限定のマッチングアプリ「Touch(タッチ)」の累計マッチング数が20万件を突破した。リリースして1年あまりでの到達に、開発者も「予想以上の反響」と驚く。開発に至った背景、どんな人が使っているのかについて取材した。

男性と出会うアプリはたくさんあるけれど…

Touchはクルージュ株式会社(東京)が開発・運営。「女性同士の出会い」というニーズに目をつけた。開発に先立ってインターネット、街中でのアンケートを実施し、2000人以上を対象にニーズを調査。代表取締役社長の林田色(しき)さん(26)は「極端に言えば『男性と出会うアプリはもういいから、女性同士で繋がりたい』というぐらいの熱量を感じた」と話す。

昨年6月にサービス開始。運転免許証など公的書類での本人確認、24時間365日の監視体制といった安全性を前面に押し出した。趣味や地域といった共通点から友達を探すことができ、音声通話も可能。広告は一切出していないが口コミで評判が広がり、今年9月にマッチング数が20万件を突破した。

20代と50代のマッチング例も

林田さんによると、すでに同様のアプリは存在していたものの「好きなホストがいるから一緒に来てほしい」「合コンをやるから参加して」「ビジネスに興味はないか」といった、純粋な友達作りを目的としていないユーザーが多いことが課題だったという。Touchではこうした勧誘につながる文言を禁止し、通報システムも明確化。違反すれば“1発アウト”で利用停止とするなど厳しく対応している。「友達作りをしたいと思っている人を保護する」ための取り組みも好評の理由だ。

ユーザーは20、30代が中心だが幅広く、20代前半と50代の人がマッチした例も。「気になっているラーメン屋に一緒についてきてほしい」「気軽にカフェ巡りができる友達がほしい」「アイドルの推し仲間がほしい」などさまざまなニーズがあるという。

恋愛を目的としたアプリとの大きな違いは、「直接会う」ことが必ずしもゴールではないこと。「チャットでのやり取りだけで満足している人も多い」と林田さんは話す。夫や姑の愚痴、職場の不満など日常生活の怒りや寂しさ…ちょっとした話題を共有できる友達を欲している人も多い。1日5往復のメッセージのやり取りを半年以上続けているユーザーもいるという。

「母の悩み」も開発のきっかけに

林田さんが幼い頃から垣間見ていた「母の悩み」も開発にきっかけになったそうだ。林田さんの母親は結婚を機に、夫の実家や職場がある東京に越した。幼い林田さんの目から見ても「僕らきょうだい3人の子育てとか、知らない土地で色んなものに追われて大変そうだった」そうで、涙を流す姿も毎日のように見ていた。「夫の仕事の関係で上京したとか、女性がそうなった時に身近に相談できる同性の友達ってなかなか作りづらい。母が孤立して悩んでいた姿を見たことも、きっかけになったと思います」と話す。アプリの構想を開発前に母親に話したところ、とても喜ばれたという。

アプリは現在、完全無料で利用できるが、今後は課金システムなどマネタイズの仕組みについて検討していくという。3〜5年後には「国内で当たり前のように使われる女性のプラットフォームになる」ことが目標。林田さんは「そのポテンシャルはあると思います」と自信をのぞかせた。

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