いよいよ今年もマラソンシーズンがスタートしましたが、秋のマラソン大会は気温が30℃を超えることもあり、熱中症などにより体調を崩す人も少なくありません。健康のために走っているはずが、むしろ走ることで不健康になるのでは本末転倒ですよね。
そこで今回はマラソン大会当日に、予定していたよりも気温が高かったときの対処方法について詳しく解説していきます。普段のトレーニングにも役立つ内容になっていますので、マラソン大会には出る予定がないという人も参考にしてください。
マラソン大会当日の気温が高かったときの対処方法をご紹介します
目標タイム・目標ペースを見直す
想定していたよりも気温が高かったとき、たとえば最高気温が30℃を超える予報だった場合には、思い切って目標タイムや目標ペースを見直しましょう。マラソンに適した気温は10℃前後とされており、30℃を超える気温は長時間のランニングには適していません。
30℃を超えていなくても20℃以上の気温では、自分の自己ベストを上回るようなペースで走ることは無理だと考えてください。世の中には気温が高い日に自己ベストを更新する人もいますが、それはマラソン経験が少ないか、練習量が大幅に増えたかのどちらかです。
マラソン大会に何度も出場している人であれば、気温が高くなることで完走タイムは遅くなるのが一般的。自己ベスト更新を狙えないとなると、何を目標にがんばればいいのかわからなくなるという人もいるかもしれませんが、だからといって無理しても体を壊すだけです。
どれくらいペースを落とせばいいかは人によって異なりますが、まずは1kmのペースを1分落としてみてください。それで余裕がありそうならペースを少し上げてみて、反対に息が上がるようならさらにゆっくり走りましょう。
気温が高い日は自己ベスト更新を狙わずペースを落として走ろう
レース前に給水しサングラスとキャップを着用する
目標タイムや目標ペースを落とすということは、いつもよりも長時間走ることになります。ペースが遅いから体にかかる負荷は小さいように感じますが、直射日光に体をさらし続けることになるので、また別の対策が必要になってきます。
まずは、レース前にしっかり給水しておくことです。スタート前にトイレに行きたくなるからという理由で給水しない人もいますが、それでは早い段階で脱水状態になる可能性があります。スタート3時間前くらいから、500mlのスポーツドリンクを複数回にわけて飲んでおいてください。
また、事前の天気予報で気温が高くなるとなっていたら、サングラスとキャップを購入しておきましょう。実際に利用するかどうかは当日の判断になりますが、天気がよくて晴れ間が広がりそうならサングラスもキャップも着用してください。
サングラスは太陽の光から目を守ってくれるだけでなく、集中力も高められる効果があり、多少暑くても走ることに集中できます。キャップは言うまでもなく直射日光を防いでくれるので、熱中症対策になります。ただしキャップによっては熱がこもってしまうので、できるだけ通気性のよいものを選ぶようにしてください。
万全の準備をしてスタートラインに立ちましょう
マイカップを持って走る
マラソン大会当日になって気温が高くなった場合、エイドでコップが足りなくなることがよくあります。ペースが速いランナーであればコップがあるうちにエイドを通過できますが、後方になると、飲み物があるのにコップが足りなくなってしまいます。
そのときに困らないように、マイカップを持ってスタートラインに並びましょう。マイカップがあればエイドでコップがなくても給水を受けられますし、ペースがそれなりに速い人でも、自分がマイカップを使えば、エイドのコップを1個使わずに済みます。
スタート前にマイカップにスポーツドリンクを入れておき、スタート待ちの間に給水することもできますし、氷を入れておいて手のひらを冷やせば熱中症対策にもなります。ランニングに適した柔らかいカップがネットショップなどで売られていますので、事前に用意しておきましょう。
ちなみに湘南国際マラソンでは、ゴミを減らすためにマイボトルとマイカップを持ってスタートラインに立つことがルールとして定められています。地球環境のことを考えて、これからは暑くなくてもマイボトル、マイカップを持って走ると決めてしまうのもいいかもしれません。
暑い日はエイドのコップが足りなくなる可能性があります
不参加やリタイアも選択肢に入れておこう
気温が高いマラソン大会では目標タイムや目標ペースを落とすことが大切とお伝えしましたが、それ以上に大切なことがあります。それは「がんばって完走することが素晴らしい」という考え方を手放すということです。
苦しさに耐えることが美徳とされる文化がありますが、気温が高いなかで走り続けることは称賛に値するようなことではありません。むしろ、不参加を決めてスタートラインに並ばなかったり、レース途中でリタイアしたりするほうが正しい行動になります。
レース当日に目が覚めて、体調がよくないと感じたら出走しない。走り出して思うように体が動かなかったり、手足がしびれてきたりしたら立ち止まり、それが何度か続くようなら潔くリタイアする。それを躊躇なくできるようになってください。
周りのランナーが走っているのに……と思うかもしれませんが、暑さの耐性は人によって異なります。無理して取り返しがつかないことになる前に、自分でストップをかけましょう。そのためにも、途中でリタイアすることも選択肢に入れておいてください。
最後まで走り切るだけが正解ではありません