VIVANTの富栄ドラム「家族のため」出世誓った力士時代、横綱の付け人 13年間の下積みを地元紙記者が振り返る

伊藤 大介 伊藤 大介

引退後ユーチューバーに

しかし、度重なる腰や股関節のけがに悩まされ、「このままだと歩けなくなる」「手術すれば長く休場しなければならない」と言われ、2021年に引退しました。引退直後に会った記者は、ユーチューバーを目指し、「力士は車を押せるのか」といった動画を撮影する様子を取材しました。バック転をするなど変わらぬ身体能力も披露し、「役者になるための勉強もしている」と俳優業を目指していたといいます。

本人は「子どもの頃からTVドラマを観るのが好きで、憧れは強く持っていました」「また、相撲を辞めるときに、それまで努力してきたこと、経歴も含めて自分の見た目や運動神経を活かしたいと考えたときに、俳優が頭に浮かびました」と回想します。

 

エキストラオーディションから抜擢

VIVANT出演は、エキストラオーディションからの抜擢でした。

「当初、僕はエキストラのオーディションに参加していました。福澤克雄監督の作品ですので、何とか選ばれたいと思っていたら、どんどん話が進んで。まさかレギュラー出演できることになるとは夢にも思いませんでした」

「半沢直樹」や「下町ロケット」など人気ドラマを数多く手がけた福澤克雄監督に見いだされ、しゃべらず携帯電話の音声で意思疎通するドラムというキャラクターが誕生しました。

「クランクインの前、素人の僕がいきなり現場に入って戸惑わないようにと、福澤監督の配慮でスタッフさんたちと親しくなる機会を与えてくださいました。スタッフさんたちと同じように赤坂に通い、行動を共にすることで早く溶け込めました」

「撮影前に福澤監督から『表情というのは気持ちで作る』と教えていただいたおかげで、何とかドラムらしい表情が掴めてきました。野崎さん(阿部寛さん)やチンギスさん(Barslkhagva Batboldさん)とのシーンでは、監督のイメージと違ったらどうしようという不安もありましたが、キャラが濃いと褒めていただき、とても自信に繋がりました。福澤監督は、僕にとても愛情を注いでくださり、本当に尊敬できる方です」

主演の堺雅人さん、阿部寛さん、二階堂ふみさんに支えられ、撮影に取り組んでいます。

「阿部さんには何度も励ましの言葉をかけていただき、堺さんにはお芝居のことを相談させていただきました。二階堂さんは、僕のせいでカットがかかっても、優しく微笑んでくれて。経験のない自分が演じることができたのも、皆さんの優しさがあったおかげです」

「去年の今頃は、まさか自分が堺さんたちと一緒の画面に映って演技をするなど想像すらしていませんでした。自分が今、ここにいるというのが、いまだに信じられないです」

力士時代に「ヒーローになる」と宣言した富栄さん。VIVANTで飛躍のきっかけをつかみ、夢をかなえる日もそう遠くないのかもしれません。

音声メディア「ボイシー」では、神戸新聞の歴代相撲担当記者が富栄ドラムさんの力士時代を振り返る番組「VIVANT出演の富栄ドラムって何者?歴代の相撲担当記者が語る『向上心に秘めた家族愛』『ユーチューバー目指してた』」を放送しています。

https://r.voicy.jp/Gw9rajrwmj3

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