新選組は「テロリスト」か「ラストサムライ」か 旧来のイメージ刷新、実態は「近代的軍隊」 語られた現在地

京都新聞社 京都新聞社

 新選組は「テロリスト」か、はたまた「ラストサムライ」か-。2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」の時代考証を担った大石学・東京学芸大名誉教授や、壬生寺の松浦俊昭貫主らによる新選組結成160年記念の座談会が、京都府庁旧本館の旧議場(京都市上京区)であった。近年、旧来イメージからの刷新が著しい新選組像の現在地が語られた。

 局長の近藤勇らは文久3(1863)年2月に上洛(じょうらく)、新選組の前身となる浪士組を結成後、まず壬生を拠点にした。小説や映画の描かれ方から、刀にこだわった剣術集団のイメージがあるが、大石さんは明確に否定した。

 「テロリストでもラストサムライでもない。副長の土方歳三は洋装姿の写真が知られるように、『ファーストミリタリー』。組織化された近代的な軍隊と捉えられる」

 これを物語る文書が壬生寺にあると、松浦さんが紹介した。1866年、境内で行われた砲術調練などについて朝廷へひそかに改善を願い出る内容で、空砲の爆音で天井などが破損する激しさだった。「境内は火事で焼けてお堂を再建中。調練中は参拝者が寺に入れず、浄財も乏しくなっただろう」としのび、幕末の京都で洋式化が図られていた新選組の実情に触れた。

 座談会は壬生寺で開催された展示「山岡鉄舟と近藤勇」の一環で、7月末にあった。新選組とつながりのあった幕臣・鉄舟が富山県の寺院に納めたと伝わる近藤の甲冑(かっちゅう)などが並んだ。

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