深夜の繁華街に響き渡る鳴き声「立体駐車場に子猫が閉じ込められている!」5日間も… 保護団体が連携した救出劇

渡辺 晴子 渡辺 晴子

保護された子猫は生後2カ月ほど、奇跡(ミラクル)の”救出劇”から「ミラク」ちゃん

繁華街の立体駐車場からレスキューされた子猫は、生後2カ月半ほど。奇跡(ミラクル)の”救出劇”だったことから、「ミラク」ちゃんと名付けられました。保護が完了したのが深夜3時半。その後、診療開始を待って、会のメンバーが病院にミラクちゃんを連れて行きました。診察を受け、両後ろ足にけがが見つかり、後ろ足がともに一部皮膚の壊死と肉球欠損など予想以上の大けがだったそうです。壊死している組織と肉球部分の手術が必要のため、ミラクちゃんは手術と長期の入院、治療を受けることになりました。

「ミラクは車の下に潜り込んでしまい、やけど、運悪く足の一部を挟んでしまったんだと思います。その状態で5日間ほどご飯もなく、水もない、誰も来ない場所でひとりで頑張っていました。今考えれば、保護当時壁と柱の隙間に隠れるように身を潜め、僕と目が合わないようにしていました。外で暮らす子たち、そしていつも大けがをした子たちは人から距離をとります。捕獲がとても難しいのはこれが理由です。ミラクは長期的な治療になりますが、しっかりみなでこの子のつなぎ止められた命と人生を大切にしてあげたいと思います」(片木さん)

繁華街で暮らす猫たちの過酷な生活を知ってもらいたい!

【繁華街の猫を救う会結成の経緯】

結成のきっかけになったのは、名古屋市内の繁華街にある下水管に落ちた子猫のレスキューでした。その現場に3つの保護団体が集まり何時間もかけて消防やレスキューが「この子を救う方法がない」と言われた子猫を救いました。

そのレスキューを機に、繁華街で暮らす猫たちを救おうと有志団体が集まり結成。繁華街にいる猫たちは、住宅街で暮らす猫とは全く異なった生活をしています。その子たちをとても過酷な生活から救い出したい。そしてその生活をたくさんの人に知ってもらいたい。また名古屋市では年間30匹ほどの殺処分がまだ行われているため、殺処分ゼロを本気で目指したい…そんな想いが集結しました。「オリ猫シェルター」「しましましっぽ」「昭和にゃんこ」「保護猫カフェ笑猫」をはじめ、個人活動家の方、協力他団体の方々が参加。現在、「繁華街の猫を救う会」として殺処分ゼロを目指すとともに、繁華街の猫たちと向き合い、譲渡会を開催する活動をしています。

これまでの主なレスキューは、「下水管に落ちた子猫のレスキュー」をはじめ、「虐待により首の周りの皮膚が壊死していた成猫のレスキュー」「ビルとビルの隙間だけで3年以上生きていた成猫のレスキュー」「ビルの隙間で5匹の生後2ヶ月の子猫を必死に育てたママと子猫5匹のレスキュー」など多数。

最後に…

「繁華街では、TNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)の見守りで、住宅街で暮らす猫たちのように平穏に暮らせる子たちはほとんどいません。ごみをあさり、溜まった雨水やエアコン室外機からの配水を飲み、ビルの隙間で寝ている子たちがほとんど。それでも街で見かけても、その生活を知る人もほとんどいません。

そして繁華街で暮らす猫たちは平均寿命が5年ほどです。どんなに活動家やボランティアがお世話していても、交通量が違いすぎるため、ほとんどの子が5年ほどでロードキル
で亡くなります。その子たちを知ってもらうことも繁華街の活動の目的にもなっています。ひとりひとりができる限りのできることを。この想いが集まれば猫を救う何かを変えるきっかけになると信じています」(片木さん)

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