【恐い話】深夜の高速道路に「下着姿の女性」目撃談 もしや姉では…霊感が強い宮司一家がとった行動とは

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次々と恐い話を引き寄せる、事故物件住みます芸人の松原タニシさん。現在は新たに17軒目となる事故物件を香川県で借りています。前入居者が風呂場で亡くなった物件で、リフォーム業者が部屋に入った時に浴室から黒い人影が出てきたという。

そんなタニシさんに、今回は、実家が神社であり、日々不思議なことが起こる天音うらんさんから聞いた話を教えてもらった。

タニシさんが、2020年に刊行された『事故物件怪談恐い間取り2』を執筆する際に取材した店でたまたま働いていたという神社育ちの天音さん。

「“心霊・超常現象=怖い”ではなくて、不思議なことが起きる日常をうらんさんの親族たちがただただ当たり前に生きているさまが、“異質なものを排除する”という固定概念を崩すヒントになるような気がして興味深く話を聞かせてもらいました」と、タニシさんは当時の出会いを語る。

「お迎えに行かんといけんね」

天音うらんさんは親戚が福岡県にある神社の宮司を務めており、神社の手伝いを親族一同でやっている。

神社の行事の中に四国八十八箇所の福岡版である「篠栗四国八十八箇所」を巡礼するお遍路参りが4月にあり、うらんさんも小学生の頃からよく参加していた。

きみこ姉ちゃんはうらんさんの叔母で、母が三人姉妹の長女、きみこ姉ちゃんが一番下の三女になる。きみこ姉ちゃんはうらんさんがまだ幼い頃、高速道路を逆走する車と衝突して、崖から落ちて亡くなった。27歳だった。

きみこ姉ちゃんが亡くなった場所は大分県の高速道路だが、ある日ランジェリー姿の女性が高速道路に突然現れて飛び出してきたというニュースが新聞に載った。

「これってきみちゃんじゃない?」

新聞で報道された場所があまりにもきみこ姉ちゃんの事故現場に近いので、親族たちはきみこ姉ちゃんが自分がすでに亡くなっていることに気づいておらず、幽霊となって姿を現したんじゃないかと思った。

きみこ姉ちゃんの姉である三姉妹の次女・あおい姉ちゃんが宮司に相談すると
「お迎えに行かんといけんね」
宮司がそう言うので、あおい姉ちゃんが現場に行ってきみこ姉ちゃんをお墓まで連れて帰ることにした。

事故現場に着いたあおい姉ちゃんは車を路肩に停め、後部座席のドアを開けた。
「きみちゃん、こっちだよ、おうち帰るよ、車乗ってね」
そう言ってドアを閉めた。

神社特有のものか地域特有のものかはわからないが、事故に遭って亡くなった人をお迎えにいく作法があるという。現場に行き「あなたがいる場所はここじゃないですよ」と伝え、墓や仏壇に連れて帰る。そして戒名を書いた紙をそこで燃やす。そうしないと地縛霊になってしまうと考えられている。

高速道路を降りたところのパーキングエリアに、人気キャラクターがパッケージに描かれた「M(商品名はご想像を)」が売ってある自販機があった。生前きみこ姉ちゃんはドライブの途中によくこのパーキングエリアに寄って「この甘いのが好きなんだよね」と言って「M」を買っていた。あおい姉ちゃんはきみこ姉ちゃんのお墓参りの際にいつもこのパーキングに寄って「M」を買ってお供えしていた。この日も買って、きみこ姉ちゃんのお墓に供え、供養した。

それ以来高速道路にランジェリー姿の女性が目撃されることはなくなった。

それから数ヶ月経ち、あおい姉ちゃんは再びきみこ姉ちゃんのお墓参りに出かけた。いつものようにパーキングエリアに寄って「M」を買って行こうとしたら、「M」は自販機ごとなくなっていた。

人気スイーツをドリンクとして表現した乳飲料「M」は、1980年代に発売された。2000年代にはすでに懐かしのドリンクとなっており、それでも2018年に製造終了となるまで販売は続いた。ある年に復刻版として期間限定で販売されたが、今はもう飲むことができないドリンクである。

きみこ姉ちゃんが亡くなったのは25年程前。ちょうど生産が縮小された時期だったのかもしれないが、自販機がなくなったタイミングがあおい姉ちゃんにとってはきみこ姉ちゃんと結びついた。

うらんさんは、成長するにつれて、親族から「あんたはきみこにそっくりだ」と言われるようになった。実際好奇心旺盛な性格も趣味もきみこ姉ちゃんによく似ていた。それもあって、お遍路参りの時はうらんさんがきみこ姉ちゃんの位牌を背負って巡礼していた。

2021年、一昨年のお遍路の時、うらんさんは突然タバコが吸いたくなった。今まで一度も吸ったことないのに、とにかくお参り中に喫煙所ばかりを探してしまう。

うらんさんはふと「きみこ姉ちゃんがタバコを吸いたがっているのでは」と感じた。母にきみこ姉ちゃんはタバコを吸っていたかを尋ねると「普段は吸わないけど、友達の前では吸っていたみたい」と言われた。

喫煙所でタバコ休憩している巡礼者に辛抱たまらずタバコを1本頂戴した。「供養になると思うよ」と言われ、初めてのタバコを吸う。

バスに乗って次の札所まで移動して降りると、身体が5センチくらい浮いてるように軽くなった。小さな社に着くと、宮司に「前に出ろ」と言われ、みんなで般若心経を唱えたら、うらんさんの目から自然と全力の涙が溢れた。

後日、きみこ姉ちゃんの仏壇がある、あおい姉ちゃんの家に行って、この出来事を報告した。

あおい姉ちゃんが言うには、きみこ姉ちゃんの仏壇には毎年命日が近づくと友達が来てタバコを供えていたという。しかしその友達は地元を離れてしまったので、その年はタバコを供えることができなかった。だから、きみこ姉ちゃんがタバコを吸いたくなったのかもしれない。

それ以来うらんさんは喫煙者になった。

(以上、松原タニシ著)

◇ ◇

まったく霊感がない人にとってはありえないことだが、天音さんにはこういった霊的なエピソードが日常茶飯事だそうだ。その理由についてタニシさんは、「文化の違う地域で当たり前に食べている食べ物が、自分たちからしたらゲテモノのように感じることがあるように、うらんさんの親族が霊的なものを受け入れるのが当たり前というコミュニティなだけかと。霊感の程度、不思議な現象に遭遇する頻度とかは人それぞれで、うらんさんたちはそれを受け入れるからエピソードが多い。霊的なものはありえないと考える人たちは、不思議な現象があったとしてもそれを見なかったことにすることでエピソードとして残らない、ということではないのかなと思います」と推察する。

ほかにも、天音さんから聞いた「オムライス」「大根」を含む、食にまつわる話41篇を綴った『恐い食べ物』(2023年6月26日発売・1650円・二見書房刊)では、霊的な話だけでなく、歴史的に、人間にまつわる身の毛がよだつ話も。”生きる”ためには決して欠かせない…だからこそ人間は執着し、想像を超えた思い入れを抱いてしまう”食”について改めて考えさせられるきっかけになる1冊だ。

◇ ◇

松原タニシさんから恐い話を直接聞けるイベント「怪談 恐いタニシ」を、8月16日に大阪「DAIHATSU 心斎橋角座」で開催(18:30開演、3000円)するほか、8月19日に奈良の「WAY 書店天理店」、9月10日に「旭屋書店なんばCITY店」で、芸人かみじょうたけしさんと刊行記念イベントを開催予定。

■松原タニシ関連情報
X(旧Twitter)●https://twitter.com/tanishisuki
YouTube●https://www.youtube.com/channel/UCF4g842_FK1CQmouMBt4mig

書籍●『恐い食べ物』(2023年6月26日発売・1650円・二見書房刊)

イベント「怪談 恐いタニシ」
日時:2023年8月16日(水)・18:00開場、18:30開演(20:00終了予定)
出演者:松原タニシ
金額:3000円
会場:DAIHATSU 心斎橋角座(大阪市中央区東心斎橋1丁目19-11号 鰻谷スクエア B1)
チケット購入:https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/024295yw3q631.html 

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