【漫画】お酒を入れると見知らぬ男性の顔が…? 縁結びの盃にまつわる不思議な話に「大人の恋」「欲しいなぁ」

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

ポーランド在住の漫画家・かんさび@物書きの不思議な話さん(@kansabi_kk)の描く『盃の話』がTwitterで話題になっています。

舞台はとある骨董屋。店主は一対の盃を仕入れました。瑪瑙(めのう)でできており、ところどころ透けた鼈甲(べっこう)色をしていて、大変美しい逸品。

ある日のこと、店に来た若い女性が、この盃を気に入り、買っていきました。しかし数ヶ月後、その女性は再び店にやってきて、「盃を返したい」といいます。

理由を聞くと、女性は話しはじめました――。

この盃をとても気に入っていたという女性。いつもこれで晩酌をしていたのですが、一人暮らしにもかかわらず、なぜかどうしても対でないといけない気がして、2つとも食卓に出していました。

そんなある日、もう片方の盃を見ると、いつの間にか盃が酒で満たされています。覗いてみると、そこには知らない男性の姿が映っているのでした。

これは一体、何を意味するのでしょうか――?

…というような概要のお話ですが、不思議な内容でありながら怖くはなく、むしろほっこりとした気持ちにさせてくれる物語に仕上がっています。

「購入したいんですけど」
「欲しいなぁこの盃」
「大人の恋の出会い方…」
「素敵なお話し♡縁結びの盃とは」
「最後に儲けが無いとボヤキが入るの好き」

このように、この漫画が紹介されたツイートのリプ欄にも、フォロワーの方からたくさんの反響が寄せられています。

読む方に不思議を感じてもらえるような作品を

盃にまつわるお話を紹介してくれたかんさびさん。他にも、不思議な話をたくさん漫画として制作、公開。今回と同様、骨董屋を舞台にした話も多くあります。

オカルトチックでありながらも、リアリティのある描き方に、「実話なの?」とも思えてしまいますが、実はかんさびさんの作品、すべてオリジナルとのことです。

「伝承や昔話からインスピレーションを得ています。さも本当の話を聞いたかのように作品を作ることを心がけています」(かんさびさん)

かんさびさんに、漫画制作についておうかがいしました。

――伝承や昔話を参考にしているとのことですが、今回の盃のお話も元ネタにされた言い伝えなどがあるのでしょうか?

かんさびさん:この盃の話には特にヒントにした伝承や昔話はないのですが、骨董品などを調べている際に盃を見つけ、そこから夫婦盃や兄弟盃などの関連用語をたどって、盃というものが縁を深くするものだということに興味をひかれ、このお話を思いつきました。

――作品の舞台は、骨董屋であることが多い印象ですが、これをテーマに選ばれている理由や、お店のモデルなどはあるのですか?

かんさびさん:私の実家は古民家で、古いものに囲まれて育っていることもあり、昔から骨董品には馴染んできました。そして付喪神信仰にとても興味があり、それを作品にするには骨董屋を中心として展開させるほうがお話を作りやすいと思ったのです。

――ストーリーを考えたり、漫画を制作するうえで、心掛けていることは?

かんさびさん:読者の方の目線でストーリーを展開させることで、読者の方が不思議を体験し、その背景や続きを想像していただけるよう心がけています。

海外の昔話にまつわる話も

骨董屋を舞台に、さまざまな骨董品に関する不思議な話を届けるかんさびさん。実家が古民家だったり、付喪神信仰に興味をもっているなどの背景もあり、今回の『盃の話』も含めて作品には和のテイストを感じさせるものが多くあります。

しかし、冒頭でも紹介した通り、かんさびさんは現在ポーランド在住。

「元々アニメーションを勉強したくてチェコ共和国に留学していたのですが、隣国のポーランドで就職し、そして仕事の傍らに個展などの芸術活動をするようになり、今は結婚してポーランドと日本を行き来しています」(かんさびさん)

海外を拠点に活動しているかんさびさん。実際、“リンゴの実の入ったブランデー”“アンティークの取っ手”など、海外の品が登場する話も多く制作されています。

「(海外にも)昔話や神話などは多くあるのですが、怪談や霊体験などは宗教の影響からかあまり耳にしません。しかしそれが逆に興味深く、なぜ違いがあるのかなどを今は調べています。ポーランドに来た時期はインターネットショップを自分で立ち上げてヨーロッパの骨董品を売買していたのですが、戦争に使用されていたものも売られていてあまり曰くなどは気にしていないようでした。この文化や国民性の違いも、不思議な話や体験に違いが出てくる理由だとは思います」

日本と海外での、受けるインスピレーションの違いについて、このように語るかんさびさん。

「和」と「洋」という、扱われるテーマの違いが、作風にどのように影響するのか。そのような点にも注目しつつ、かんさびさんの作品を読んでみるのも面白いかもしれませんね。

  ◇  ◇

「文学小説のような短編漫画」を描くことを旨に、怖くない(たまにちょっと怖い)不思議な話を届けているかんさびさん。Twitterのほか、pixivやInstagramでも作品を投稿されています。

また、これまでの作品を英語に翻訳することも計画中。しかし、「日本の文化や伝統の基本知識がないとわからない作品も多いので、どうしようか考えているところ」だといいます。かんさびさんの今後の活動にも注目です。

■かんさび@物書きの不思議な話さんのTwitterはこちら
 →https://twitter.com/kansabi_kk

■かんさびさんのpixivはこちら
 →http://pixiv.net/users/11776362

■かんさびさんのInstagramはこちら
 →https://instagram.com/kansabi_kk/

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