実家の片づけ、業者に依頼したら驚きの金額に!? 「桁ひとつ多い」か「まだ安い方」か…増える生前/遺品整理の現実

黒川 裕生 黒川 裕生

「残置物撤去処分」一式の総額、税込み198万円!ガーン!!!

これは、ある家族が実家を処分する際にかかった費用だ。生前整理や空き家問題に悩まされたことがないような人にとっては衝撃的な金額かもしれないが、不動産関係者などに聞くと、さほどとんでもない額というわけでもないらしい。

「実家の片付けは普段からしておけよ……」とTwitter(現X)に請求書の写真を投稿したのは、神奈川県内で不動産会社を営む「あモン」さん(@ashita_keiyaku)。「相続や空き家の問題は今、爆発的に増えています。今回の投稿が注意喚起になればいいのですが」と語るあモンさんに詳しく話を聞いた。

広い家に溜め込まれた過去トップクラスの家財道具

不動産の売却や賃貸、空き家管理を手掛けるあモンさん。県外に住むお客から「高齢の母が独り暮らししていた地元の実家をどうにかしたい」という相談を受け、幸い「借りたい」という人が見つかったため、専門の業者に片づけを依頼したという。

もともと農家だったというその家は、6DKの広い平屋建ての母屋と2階建ての離れ、倉庫、ガレージなどがあり、服がぎっしり詰め込まれた10棹以上のタンスや子供たちが使った学習机、一般ごみとしては処分できない農機具などが大量に残されていた。

「ざっと見積もって全部で20tくらいあったでしょうか。作業員4、5人でほぼ2週間かかりました。家が広いこともあり、私がこれまで見てきた中でもトップクラスの物量でしたね」

あモンさんの投稿には8月9日現在2300件以上の“いいね”が集まり、「わかるううう…」「撤去費用でこんなにもかかるんですね」「桁が一つ多かった…」「私の同僚は300払った」「本当にソレ!義理親の遺品整理で、家族間トラブルだらけの経験して『もう絶対やりたくない!』と思った私が言うんだから、間違いない」といった反響が続々と寄せられている。

普通の人の手に負える作業ではない

だが、あモンさんが伝えたいのは「実家の片づけ費用は思っているより高くつく」ということだけではない。仮に自力でやろうと思っても、そもそも生前整理や遺品整理は、よほどのノウハウと気力がない限り、普通の人の手に負える作業ではないというのだ。

「よくあるのは、田舎の実家で老親が暮らしていて、子供が遠くにいるというパターン。生前整理を始めると、最初のうちはこまめに帰って片づけていけるのですが、思い出の品があると感傷に浸ったりして、すぐ選別に行き詰まってしまいます。さらに、用事などでちょっと間が空くと、あっという間に庭の草が伸び放題になったりするので、次第に足を運ぶのが億劫になり…。そうこうしている間に親が亡くなり、相続問題が浮上。最終的にどうにもならなくなった人が相談にいらっしゃいます」

「生前整理や遺品整理、空き家の問題は今、爆発的に増えています。2024年度には相続登記義務化がスタートすることもあり、実家をずっとほったらかしにしていた人たちも焦燥感を募らせ、とにかく早く処分したいという要望が非常に多いですね。しかし、投稿した請求書からも分かる通り、残された家財道具を片づけるだけでも実はものすごくお金がかかります。ごく一般的な民家でも安くて40万〜50万円、一番多いのが100万円前後といったところ。じゃあいっそ解体しようと考える人もいらっしゃるでしょうが、その場合は数百万円かかることも珍しくありません」

いかがだろうか。中には「100万円あげるから土地ごと引き取ってくれないか」という人までいるというが、あモンさんは「その後にかかる費用を考えると、全く割に合いません。申し訳ないですが、そういった話はお断りします」と明かす。

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