本物を見たことも触ったこともないのに…実物のように動かせ、超リアル! 木で「銃のレプリカ」をつくる22歳ってどんな人?

平藤 清刀 平藤 清刀

Twitter(現X)でいま話題になっているのが、精巧に再現された銃のレプリカ。しかも、これらの作品は木でできているという。たんに外観を削り出すのではなく、細かい部品から制作し、それを組み立てて実銃の動きまでも再現できるそうだ。

制作者の「小松製作所」さん(22歳)に、お話を伺った。

「モデルアップされていない銃を手に取ってみたいから」

小松製作所さんが木工で銃のレプリカをつくりはじめたのは、15歳の頃から。

「モデルアップされていない銃を実際に手に取ってみたいと思って、つくりはじめました」

それでも、実際にこれだけ精巧に再現するには、そうとうな技術が要るはず。どこかで専門的に技術を学んだのかと思いきや、木工は独学で身に着けたという。もともと手先が器用で、センスが良かったのかもしれない。

疑問なのは、実銃を見たことも触ったこともないはずなのに、ほぼ実物大で細部まで再現していることだ。実銃の採寸ができるわけではないし、どうやってサイズを割り出しているのだろう。

「実銃の写真で各部の比率を見て、寸法を出します。それでも分からない場合は、弾倉やレールなどの規格を見ながら、概略で出します」

こうしてサイズを割り出したら、木工のための設計図を引くという。

「制作の都度、設計図を引きます」

ちなみに材料の木材は、近隣のホームセンターで購入するそうだ。

「基本的には、国産の檜材を使用します」

設計図を引いて、材料を購入したら、いよいよ制作に移る。設計図から完成まで、各部品の整合→板材切り出し→接着→削り出し→仕上げ→組み立て→小部品制作→最終仕上げという工程を経る。

陸上自衛隊が装備する89式小銃やロシアのAKなど、プレス加工の多い銃は、とくに手間がかかるという。一方、陸上自衛隊の最新小銃である20式小銃など、削り出し加工の銃は、比較的容易に工作できるそうだ。

「製作期間は内部構造によって前後しますが、小銃だと3カ月、拳銃だと1カ月程度です」

部品から組み上げているため、できあがった作品は、実銃とほぼ同じように動かせるとのこと。たとえばブローニングM2重機関銃だと、「槓桿(ボルト)を引く」「引金を押すと空(から)撃ちできる」など、実物同様の操作が可能だという。

先駆者がほぼいない分野で…

小松製作所さんの職業は公務員。日中は自分の仕事があるから、作品の制作にあてる時間は限られている。

「平日は3時間、休日は8時間くらいです」

つまり、仕事と就寝以外のほとんどの時間を、作品の制作に費やしているということだ。

「日本では入手できない銃を実際に手に取れることが、この趣味の楽しさだと思っています」

作品づくりで、苦労することは何だろうか。

「先駆者がほとんどいないため、加工方法の工夫や工具と材料の選定などをすべて1人でやらなければならないことです」

苦労するとはいえ、それさえも楽しんでいるのではないだろうか。

ところで、これまで20挺ほど制作した作品は、そのほとんどを実家で保管している。これだけ精巧な作品だから、やはり「売ってほしい」という要望が多いという。

「販売を希望される方は多数おられますが、受注生産は行なっていません」

しかし、見る機会はあるそうだ。

「年に数回、イベントに出展しています。Twitterで告知していますので、ご覧になりたい場合はご参照ください」

最後に、今後制作を予定している銃を聞いてみた。

「今後は、FB GROTとCZ BREN2 BRなどを制作する予定です」

いずれも「アサルトライフル」にカテゴライズされる小銃だ。小松製作所さんの手でどんな仕上がりになるのか、今から楽しみだ。

▽小松製作所さんのアカウント
https://twitter.com/jpdr3568

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