燃費は両車優れており、甲乙つけがたい
シエンタの燃費は、80系ヴォクシーを上回っている。ボディが小さく、排気量も少ないからだ。燃費だけを重視するのであれば、シエンタという選択肢になる。
しかし、80系ヴォクシーの燃費も優秀だ。ハイブリッド車の燃費を比較すると、約16~17%しか悪化していない。この落ち幅をどう判断するかが重要だ。なぜなら、この燃費悪化分で、シエンタとは比べ物にならないくらいの室内空間が手に入るからだ。室内空間をより重視しているのであれば、許容範囲内の燃費といえるのではないだろうか。
オシャレ系シエンタ、マイナーチェンジ前後でやや評価が異なる80系ヴォクシー
シエンタは、従来のミニバンとは異なるデザインが使われている。ミニバンは、大きく見えて、迫力のあるデザインが必須とされてきた。歴代ヴォクシーも、迫力のあるデザインを踏襲している。その結果、人気モデルとなった。
ところがシエンタは、大きく見えるデザインにこだわらなかった。ボディのコーナーは、丸くし、シカクマルシルエットとした。小さなクルマだからこそ生まれる、愛着の湧く可愛らしさも表現した。
また、ボディサイドにプロテクションモールを装着した。ややSUVなどのアウトドア的なツール感をプラスしている。トヨタは、デザイントレンドを敏感に感知し、上手くアレンジして使う傾向がある。その結果、シエンタの外観デザインは、とても好評だ。
80系ヴォクシーはマイナーチェンジ前のデザインも完成度が高かった。しかし、2017年のマイナーチェンジでは、フロントフェイスのデザインが大きく変更された。ヘッドライトは、1クラス上のヴェルファイアのイメージを引き継ぐような、上下2段のヘッドランプを採用している。さらに、台形でボトム部をかなりワイドにした、大型グリルが組み合わされた。グリルのフレーム部分にはメッキ加飾が施され、独特の存在感を主張する。ひと目でヴォクシーと分かる個性的なデザインとなった。
シエンタと80系ヴォクシーのデザインを比較すると、対局にあるように見える。どちらを選ぶかは、もはや好みの問題といった印象だ。そのため、デザインだけで選ぶのではなく、どんな使い方をしたいか、どんな機能が優先すべきかを検討する必要がある。