メルカリやラクマなどのフリマサイトはとても便利。自分にとって不要でも、誰かにとっては価値がある物かもしれません。しかし、中には違法に物品を転売している人もいます。
獣医師の菖蒲谷友彬@まるペットクリニック【クローン病・バセドウ病闘病中】さん(@vet_shobudani)は、メルカリであるものを見つけ、激怒。メルカリに通報し、Twitter(現X)に画像を投稿しました。
「翼状針、注射針は完全にアウト。しかも、ソールドアウト…未使用の翼状針、注射針は必ず処方された医療機関に返却を!」
投稿を見た人からは、
「ペット用マイクロチップも売ってます」
「老犬介護する時、シリンジで流動食をあげることはあるけど、さすがに針は出品したらダメですね」
「医療機器や医薬品の転売はかたく禁じられているはずですが……治療開始時に返却や廃棄時の指導をより徹底する必要がありそうですね。」
「針に細工でもされていたらどうなってしまうのか」
など、たくさんの声が寄せられました。
菖蒲谷獣医師に詳しいお話を聞きました。
ーー動物用医薬品の転売は法律で禁止されているのですか。
「薬剤師、もしくは登録販売者のみネット販売が可能です。獣医師は対面での処方のみとなります。販売には知事の許可が必要で、無許可販売は逮捕されます。また、獣医師であっても、要指示薬を診察せずにネット販売することは違法です」
ーーそれはなぜでしょうか。
「動物用であっても医薬品は医薬品なので、使い方を誤ると健康被害をもたらす可能性があるからです。たとえ合法であっても、診察をせずに動物用医薬品をネット販売することには反対です。我々獣医師は可能な限り正確な診断を行い、それをもとに最適な処方を考えます。その大切なプロセスを無視して、医薬品の購入を飼い主に委ねるのはリスクがありますし、誰も責任を取ってくれません。まして、患者である動物は自分の症状を話すことができないので、患者の状態を正確に判断するのは簡単ではありません。動物用医薬品を使用する際には必ず獣医師の診察を受けていただきたいです」
ーー主にどんな人が出品していると思われますか。
「あくまで推測にはなりますが、自宅で皮下点滴を行っていたが、何らかの原因(動物が亡くなってしまった、自宅での点滴が困難で使わなくなってしまったなど)で必要なくなった飼い主が出品しているのではないかと思います。また、信じたくないことですが、常習的に出品している場合は獣医療関係者の可能性もあります」
ーー転売品を買うリスクもあるでしょうね。
「ペットフードなどにも言えることですが、一度人の手に渡っているものは、適切な状態で保存されているかも分かりませんし、悪意のある人間がどのような細工をしているかも分かりません。医療用品や療法食は動物の身体や生命に関わります。必ず信頼できる医療機関から処方してもらってください」
ーー医療機器や医薬品の適正な廃棄の仕方を教えてください。
「自治体によっては注射筒(シリンジ)に関しては一般廃棄物で廃棄できる場合もあるようですが、原則として処方された医療機関に返還するのが無難かと思います。特に注射針や翼状針などは、『感染性廃棄物』として処理しなければならず、一般家庭で廃棄することはできません。医療用品を廃棄する時は、必ず医療機関に相談するようお願いいたします」
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誰が転売していようと、注射針や輸液などの動物用医薬品は、リスクを負ってまで買うものではありません。動物病院で診察してもらって処方してもらうようにしましょう。シリンジは無料でくれる動物病院もあります。よくわからない時は、獣医師に相談してください。