ペットがボタン電池を飲み込んだ!→でも「吐かせる」のは待って 知れば納得、とっても怖い「化学やけど」

渡辺 陽 渡辺 陽

「ペットが間違って異物を飲み込んでしまった!」という誤飲事故。最近は「Air Tag」を間違って飲み込んでしまう犬もいるようです。胃から腸に入ってしまうと開腹手術が必要な場合もあるので慌ててしまいますね。しかし、Air Tagやボタン電池などは、他の異物とは対処法が違うようです。

獣医師の菖蒲谷友彬@まるペットクリニック【クローン病・バセドウ病闘病中】さん(@vet_shobudani)は、Twitter(現X)に正しい対処法を投稿しました。

「誤飲は原則としてできるだけ早く吐かせることが大切ですが、バッテリー(ボタン電池など)の催吐処置は禁忌です。食道に滞留し、化学やけどから食道穿孔を起こします。できる限り早く内視鏡や開腹手術で取り出す必要があります。こうしたものを決して動物の近くに置かないようお願いいたします」

菖蒲友彬さんに詳しくお話を聞きました。

ーーボタン電池などは、催吐処置するより、胃に留めておいたほうがいいのでしょうか。

「胃に留めておいた方が良いということではありません。ただ、催吐処置して食道に滞留した場合、外科的な摘出が難しい位置になるので、胃から摘出した方がマシということです」

ーー催吐処置すると、食道に滞留することがあるのですね。

「必ずしも食道に滞留するわけではありません。吐き出せるならそれが一番です。しかし、もし食道に滞留すると、最悪の場合、化学やけどによる食道穿孔を起こし、亡くなる可能性もあります。電池やバッテリーは大きさの割に質量があるため、食道に滞留する可能性は少なくないのです」

ーーなぜ化学やけどが起こるのでしょうか。

「飲み込んだボタン電池が食道の内壁に貼り付くと、電気分解によって電池の外にアルカリ性の液体ができます。このアルカリ性の液体はタンパク質を溶かす性質を持っているため、ボタン電池と接触した粘膜に化学やけどを引き起こすのです」

ーー内臓の火傷って怖いですね。

「高熱による熱傷では接触開始とともに破壊が始まり除去されると停止しますが、化学熱傷では化学反応とともに進行し、除去されても内部に浸透した薬物が不活化されるまで進行するため、重症となりやすいです」

ーー万が一、穿孔した場合の治療法は?

「胃であれば化学やけどを起こした部分を切除して再建することは可能ですが、食道穿孔を起こすと予後不良のことが多いです」

ーー犬にAir Tagをつけられるハーネスがありますが、やめておいた方がいいのでしょうか。

「万が一食べてしまって化学やけどを起こすリスクを考えると、付けるメリットがよほどない限りはやめておいた方が無難です」

実はこの化学やけど、日本小児科学会のinjury alert(傷害速報)でも報告されています。ある症例によると、体温計のボタン式リチウム電池の誤飲による胃と食道の化学やけどで、粘膜が損傷。全身麻酔下の内視鏡検査で取り出し、翌日退院したそうです。

ペットも子どもも誤飲してしまう可能性のあるAir Tagやボタン電池。何気なく机の上に置いたままにしないよう注意したいですね。

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