【医師に聞く】「痛風」の引き金となることが多い生活上のイベントは 「夏」「飲酒」「脱水」は要注意

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

生活習慣病の一つである「痛風」の引き金となることが多い生活上のイベントにはどのようなことがあるのでしょうか。全国の医師355人(開業医40人/勤務医315人)に聞いたところ、最も多かった回答は「宴席の連続」でした。また、痛風発作を起こしやすい季節については、約4割の医師が「夏」と回答したほか、尿酸値を上げる原因として「飲酒」「脱水」を重く考えている医師が多いことなどもわかったそうです。

一般社団法人日本生活習慣病予防協会(東京都港区)が、2023年5月にインターネットで実施した調査です。

まず、「患者が痛風発作を起こしやすい季節」を聞いたところ、「季節性は感じない」が43.7%で最多となったものの、春夏秋冬のいずれかでは「夏」が42.8%と圧倒的多数となりました。他方、「発作を起こしやすい時間帯」については、「特に多いと感じる時間帯はない」が42.3%で最多となり、次いで「起床後から昼食前」(24.8%)、「就寝中」(16.3%)が続く結果となっています。

さらに、「痛風のトリガー(引き金)となることが多いと感じる生活上のイベント」を複数回答で答えてもらったところ、1位「宴席の連続」(57.7%)、2位「特定の食品の食べ過ぎ」(46.2%)、3位「その他の激しいスポーツ」(28.7%)、4位「サウナ利用」(23.4%)、5位「筋トレのし過ぎ」(19.2%)といった回答が上位に並びました。

また、「高尿酸血症・痛風の悪化や合併が進みやすい要因」についても同様に答えてもらったところ、1位「飲酒」(67.9%)、2位「脱水傾向」(58.0%)、3位「食べ過ぎ」(50.4%)と、宴席がもたらす要素がここでも上位に並んでいます。

続いて、「コロナ以前と比べ、高尿酸血症や痛風での受診者数に変化はありますか」と聞いたところ、35.2%の医師が「増えている」(増えている:29.3%・とても増えている:5.9%)と回答。

コロナ禍が発生した2020年からの推移をみると、2020年が33.6%、2021年では48.6%、2023年が35.2%と、コロナが最も深刻だった時期に比べれば減少傾向にはあるものの、2020年と2023年の結果が同様な値であることから、同協会では「コロナ禍によって大きく変わった日本人の生活が、いまだに高尿酸血症などの生活習慣病リスクに影響を及ぼしていることが示唆されます」とコメントしています。

さらに、「高尿酸血症患者数が増えている」と回答した125人の医師に対して、「どのような患者さんが増えていますか」と複数回答で聞いたところ、「尿酸降下薬などの服用を自己判断で中止し発作が再発した患者さん」(45.6%)、「コロナ禍以降に運動機会が減少し急激に尿酸値が上昇した患者さん」(35.2%)といった回答が上位を占めました。

より具体的に、「尿酸コントロール状態はコロナ禍発生直後からどのように変化しましたか」と聞いたところ、67.9%の医師が「悪化はしていない」と答えたものの、約3人に1人(34.1%)は「悪化している」(非常に悪化している:2.5%・悪化傾向:29.6%)と答えています。

高尿酸血症が痛風のリスク因子であることは広く知られている一方で、腎障害のリスクを高めること、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)のリスクとも関連があることはあまり一般には知られていないようです(Dr.ヒサトメの かかりつけ医のための高尿酸血症・痛風診療Q&A, 久留 一郎著, 診断と治療社, 2021)。

そこで、全回答者に対して「高尿酸血症を放置している患者さんに多いと感じる合併症」を複数回答可で答えてもらったところ、「腎障害」(66.5%)、「高血圧症」(58.9%)、「糖尿病」(58.6%)、「尿路結石」(55.2%)、「脂質異常症」(52.1%)、「虚血性心疾患」(50.4%)などが挙げられました。

さらに、生命予後に直結することのある心血管疾患に焦点を当て、「臨床現場での実感として、高尿酸血症と心血管死亡リスクの関連性は高いと思いますか」と聞いたところ、82.8%の医師が「高いと思う」(とても高い:13.2%・やや高い:69.6%)と答えています。

また、尿酸値(血清尿酸値)が7mg/dLを上回っている(高尿酸血症)ものの、「医師向けのガイドラインで薬物介入が推奨されるレベル未満の場合の対応」について複数回答で聞いたところ、「食事指導・飲酒制限」(73.0%)、「運動指導」(32.4%)などが多く、生活習慣の改善の指導が中心であることが判明。なかでも、「食生活の重要性」については、96.6%もの医師が「重要」と考えていることも分かりました。

さらに、「手軽にできる尿酸値対策」として、71.5%の医師が「乳製品を勧めたいと思う」と回答。具体的な「お勧めの乳製品の種類」を複数回答で教えてもらったところ、「ヨーグルト」(59.4%)、「牛乳」(41.7%)、「チーズ」(27.9%)などが上位に挙げられました。

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