ある日の昼下がり、とあるカフェに106人もの女性が集まっていた。北海道から鹿児島まで住んでいるところも年齢も様々だという彼女たちの目的は、ある人に会うためという。お目当ての一人の女性が登場すると、会場には大歓声が響き、中には泣き出す人もいた。彼女たちの前に立ったのは、Instagramでダイエットについて発信している「ダイエット革命家」のYUKOと言われる女性。はたしてどんな人物なのだろうか。
ダイエットとリバウンドを繰り返した人生
今のYUKOさんはすっきりした体型なので想像しがたいが、ずっと太っている人生だったとのこと。YUKOさんのInstagramに載せている当時の写真を見ると本当に驚かされる。
子どものころから太っていただけに、経験したダイエットも数多い。エステや糖質制限、筋トレや食事置き換えなど多くのダイエットを経験してきた。このままではだめだと、20歳の時に本気でやせようと決意。エステに通い炭水化物を抜くように指導され、74kgあった体重を1年かけて30kg落とした。
しかし、炭水化物をとったらリバウンドして3カ月で元通り。そんな経験から、糖質をとること自体に恐怖を感じるようになったこともあるそうだ。
その後、スポーツジムに就職して必死に運動してやせたが、妊娠・出産で運動をやめたらどんどん太っていったという。リバウンドを繰り返した結果、いつの間にか服装や化粧なども気にしなくなり、自分のことも嫌いになっていった。
そんなYUKOさんがどうして今のようにやせることができたのか。きっかけはYUKOさんの二人のお子さんたちだった。
「女の子はお母さんの影響を受けると聞いたから、その時の私の影響を受けてほしくなかった。七五三や入学式に来ていく服装も選べるものが少なかった…。しかも写真にこの姿が残っていく…。もしかして、私が太っているせいで友達にバカにされたりするんじゃないかと思ったら、このままじゃいけないと思ったんです。お母さんは自分のためにはがんばれなくても、子どものためならがんばれるものなんですよね」というYUKOさん。
それから体の勉強を必死でやった。そして、どうしてやせなかったか理由がわかった。それは、12年間やせるために糖質制限や極端なカロリー制限をしていたから。正しい知識を理解して、3食糖質もしっかり食べたら、身長147㎝で74㎏あった体重が、7カ月で48kgまで減ったという。
そして今ではダイエットスクールYELLを運営し、スクール生もどんどんやせるという結果をだしている。
「発信されているダイエット情報の闇」を感じて
YUKOさんがInstagramでダイエットの情報を発信するようになったきっかけは、SNSで流れてくるダイエット情報に違和感を感じたからだとか。
「〇〇するだけでやせる」とか「〇〇飲んだらやせる」とか「やせるストレッチ」とか…たくさんのやせる情報を日々目にする。しかし、ダイエットの結果はすぐにでるわけがないとYUKOさんはいう。
「今まで長い時間かけてつくられた体型が、簡単にやせるわけがないんです。今までの生活習慣で太っているんですから。だからダイエット業界は儲かるんですよ。リバウンドすれば、またやせないと。ってお金を使う。SNSで紹介されてる商品や、インフルエンサーがやってるから、とかを信用しすぎないでほしい。しっかり自分で調べて考えて、ちゃんとした情報でダイエットをやってほしい」と話すYUKOさん。
「そういう怪しい情報が嫌になって、私は正しいダイエットの情報を広めようと3年前からInstagramの発信を始めたんです。3食糖質を食べないとやせない。ダイエットはつらいと続かない。続かないと意味がないんです」
YUKOさんは自身が長くとらわれていた思い込みについても続けた。
「私が12年間糖質制限してたのは、それがやせると思ってたから。正しい知識を知らなかったからです。糖質制限すると筋肉が落ちるんですよ。それで体重が減るのでやせたと思い込んでいました。でも、元の食生活にするとすぐに太る。しかも、筋肉が落ちて基礎代謝も低下しているから、さらに太りやすくやせにくい体質にかわってしまってる。ダイエット指導者も体重が簡単に落ちると都合がいいから言ってるだけの人もいるんですよ」
しかし、世の中にあふれているダイエットの情報に、違和感を感じていたのはYUKOさんだけじゃなかったようだ。YUKOさんがダイエット業界の闇を発信した後に、Instagramのフォロワー数が500人から3万1000人まで増えたという事実がその証拠だろう。多くの人がYUKOさんの発信に共感したということになる。
脳出血からの奇跡的な回復「病気には感謝しかない」
Instagramの発信ではストレートな言葉やliveでのエネルギッシュな姿から、とても明るくパワーのある印象を受けるが、実は30歳の時に病に倒れたことがある。しかも、先天性の脳血管の異常でありそこからの出血で、一時は失明か半身不随も覚悟しないといけないような状態になった。
「目が見えなくなり始めたころ、目が覚めるたびに自分の手を見て指を数えていました。私の視力が戻ったのも、半身不随にならなかったのも奇跡しかない。きっと、家族のもとに帰りたい。私の知識と経験をたくさんの人のために使いたい。この二つの強い思いが奇跡を起こしたんだと思っています」と、当時のことをそう振り返る。
そんな奇跡的な回復をしたYUKOさんだが、実は今も脳の病は残ったままだ。場所的に手術が困難であったため、保存的療法になったのである。想像するに、それは頭に爆弾をかかえているような状況ではないだろうか。普通だったら怖さに心を支配されてもおかしくない。しかし、YUKOさんはとても明るくよく笑い、楽しそうだ。
そんなYUKOさんの心の内を垣間見るような投稿があった。
「当たり前が当たり前じゃなくなった時、たくさんのことに初めて気づかされる」「検査のたびに不平不満を口にせず、今生きていることに感謝をして。毎日を楽しんで生きていこうと心が熱くなる。私は病気に感謝しかないよ」
こういうところから、YUKOさんのマインドは恐怖にとらわれているのではなく、感謝にあふれているんだということがうかがえる。命に向き合ったからこそ、あのすごいエネルギーがだせるのかもしれない。
お母さんの幸せは家族の幸せ
YUKOさんの発信の多くは世のお母さんにむけられている。それもYUKOさんが病で倒れた時にお母さんという役割の大きさを感じたからだという。
いつも多くの仕事をこなし、自分よりも家族を優先する。YUKOさんもその一人だった。
「やせることはゴールではないんです。やせてやりたいことにどんどんチャレンジしてほしい。ダイエットは自分を好きになるための一つの手段にすぎないです。大切なのはやせたその先の未来。年齢や環境なんて関係ないんです。正しい食事をしてると、イライラが減ったり前向きになれたりメンタルもかわるんです。お母さんが笑顔になると、子どもも笑顔になる。お母さんの幸せは家族の幸せだと思うんです」
同じお母さんという立場の、YUKOさんが発信しているからこそ多くのお母さんたちから共感されるのだろう。
何人かフォロワーさんに話を聞いてみた。「友達にすすめられて見たら、すごく気持ちが前向きになったから」「すごく落ち込んでいる時にYUKOさんを見つけて人生がかわったんです」「ダイエットきっかけでフォローしましたけど、それだけでじゃなくパワーをもらえるんです」という返答だった。ダイエットの発信をしているが、いつの間にかYUKOさんの生き方や人がらに魅力を感じてファンになる方が多いようだ。
そんなYUKOさんの今後についてうかがった。
「正しいダイエットというか食べることの大切さ。食育ですよね。そういったことを子どもたちに伝えていきたいです。大切な成長期に間違ったダイエットをしないように。食べることは生きることですから。学校の先生たちとコラボして授業なんて楽しそうですね」
YUKOさんは、単なるインスタグラマーでもインフルエンサーでもなく、本気で食べることの大切さやダイエットについて伝える「ダイエット革命家」だった。
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▽YUKOさんInstagram
https://www.instagram.com/y_e_l_l_/