「“せっかく京都に行くんだからたくさん巡りたいな。清水寺行って八坂神社行って水路閣を見て伏見稲荷行って龍安寺行って金閣寺行って、嵐山にも行きたい!あ、できたら平等院鳳凰堂も見たいな!全部電車かバスで行けるんだよね?”と言われたら、良識ある人は無理だやめとけと返すと思います」
京都観光への提言から始まったつぶやき。しかし、京都を愛するちせ(燈代知世)|京都歩きすぎさん(@ChiseKyoto、以下ちせさん)はこう思いました。
「実 際 ど う な る ん や ろ う ?」
そこで、実行されたのが『京都名所巡りRTA(リアルタイムアタック)』!!徒歩を基本とし、移動は電車利用で1日で全27カ所を訪問。行った証として、設けたルールは、「その場所を象徴するような写真を1枚撮り、できるかぎり参拝する」でした。その行程を紹介したTwitterとYouTubeは多くの人の目にふれ、大きな反響となりました。ちせさんに詳細を取材しました。
全12時間半で27ヶ所(+おやつ2ヶ所)、狂気でしかない
まずは、実行した『京都名所巡りRTA』のスケジュールを紹介しましょう。こちらは観光名所での滞在時間であり、※電車移動と明記しているもの以外は徒歩での移動時間となっています。また一部は敷地外からの撮影で入場できていない場所もあります。
①清水寺 6:00〜6:20
②産寧坂 6:25〜6:31
③二寧坂 6:33〜6:34
④八坂の塔 6:35〜6:41
⑤ねねの道 6:44〜6:48
⑥円山公園 6:52〜6:53
⑦八坂神社 6:54〜7:08
⑧辰巳大明神 7:20〜7:23
⑨巽橋 7:23〜7:28
⑩一本橋 7:40〜7:41
⑪平安神宮 7:50〜7:58
⑫南禅寺水路閣 8:16〜8:28
⑬蹴上インクライン 8:39〜8:50 ※電車移動
⑭東福寺臥雲橋 9:29〜9:30
⑮伏見稲荷大社 9:50〜10:05 ※電車移動
⑯平等院 10:50〜11:06
⑰縣神社 11:11〜11:25
六条庵 お濃茶アイス休憩20分 ※電車&バス移動JR宇治ー京都ー円町
⑱北野天満宮 13:06〜13:16
⑲平野神社 13:22〜13:23
⑳金閣寺 13:45〜13:52
㉑龍安寺 14:30〜14:47 ※電車移動
㉒天龍寺 15:37〜16:07
㉓竹林の小径 16:08〜16:10
㉔渡月橋 16:24〜16:25
中村屋総本店 コロッケ休憩8分 ※電車移動
㉕東寺 17:35〜17:36(閉門後)
㉖京都タワー 18:07〜18:10
㉗東本願寺 18:17〜18:30(閉門後)
朝6時スタート18時半終了。移動距離約75km、1日の歩数は5万4122歩(約37.8km)でした。
計画を実行したのは、動画にも登場する2人とちせさんの計3人。ことの発端はTwitterで“京都を初めて訪れる人は1日で京都の名所をたくさん行きたいと言うけれど無理だ”という旨の投稿でした。「それに対して、“いや、できるのでは?”という話になり、やってみることにしました」。
当初の予定では17ヶ所を巡ることになっていましたが、実際スケジュールを立ててみるとあそこも行ける、ここも行こうとなり、最終的には観光客に人気のスポット27ヶ所に。「唯一の例外として最後に貴船神社(京都市左京区)に行く案もあったのですが、さすがにそれは全員一致で“やめとこう”となりました(笑)」とちせさん。
分刻みで名所を訪れるYouTube動画を見ていると、最後は気力だけで巡っている様子がうかがえ、「これは苦行を見ているのか?!」と思ってしまうほど。ちせさんも「何度も“しんどい”という声もあがりました。しかし、やめようという人はいませんでした」と振り返ります。
実際にやってみた感想は、「できなくはないです、強い意志があれば。我々は京都へ何度も足を運び、土地勘がありますし、たくさん歩くことにも慣れています。それでもやはり最後はしんどいなぁと思いました。でも、翌日は仕事でしたが、思いのほか元気でした。さすがに脚と肩は筋肉痛がありましたが…。他2人もやはり筋肉痛と、疲労があったようです」。
今回、Twitter投稿やYouTube配信のために、行程を入力する過程で改めて狂気を実感したそうで、「特に、初めて京都に行く方にはじっくりゆっくり京都を味わっていただきたい。2〜3日かけて、エリアごとに楽しんで欲しいです。1回の京都旅行で全部行くのが難しい場合は、次回のお楽しみにして、何度も京都に足を運ぶことをおすすめします」と話します。
何度通っても発見がある!京都の奥深さ
7.3万のいいねが集まったツイートには、さまざまなコメントがありました。
「読むだけで白目剥きました」
「ひとつひとつの滞在時間短っっっ!!」
「比叡山の御朱印十箇所を1日で着物で徒歩で回ったらなんの冗談かと言われた」
「悩める思春期にやってみたかった」
「名所を見ることではなく記録に挑戦することを目的とするなら、これも旅の醍醐味としてアリ!?」
「むちゃくちゃな提案する人にこれを見よ!と突きつけたい」
「主の走破距離37.8kmに対し山手線一周34.5km」
ちせさんは、「やはり皆さん気になる話題なんだなぁと思いました。印象的なのは、“もっとバスを有効活用すべきだ!”という声が少なかったことです。京都のバスは、ありとあらゆる路線があり、いろんな場所に行けますが、渋滞など道路状況によって時間が読めません。また、人出が戻ったことによりバス内が非常に混雑しており、満員で乗れないということもままあります。そのことを理解している人が多いため、“バスを有効活用すべきだ”という意見が少なかったのだなぁと。電車と徒歩をうまく使うと便利ということはもっと知られても良いなぁと思います」。
大阪で暮らし、神戸で働くちせさんは、週末や会社帰りに京都に通う京都好き。主に徒歩と公共交通機関で京都を巡り、Twitterなどに投稿しています。「京都は知れば知るほど奥深くて、それ故にもっと知りたくなります。知るほどに面白いです。そんな京都の魅力をこれからもお伝えできたらと思います」と京都への愛を語ります。
<ちせさんが考える京都観光のポイント>
●早朝拝観を活かす
「例えば、清水寺は6時開門。開門直後はさすがに人が少なめ。混雑を避けるため、早朝拝観を活かすことが大切です」
●電車と徒歩を駆使する
「京都の市バスは時間が読めず大抵混みあっています。電車で行きたい場所に近づいて歩いて行く方が行きやすい場所が多々あります」
●行きたいところを中心に計画を立て、周辺も調べておく
「意外と近かったりスムーズだったりということがあるので、計画を立てつつ+αも調べておくと良いと思います」
ちせさんも実感しているように、京都を訪れる国内外の観光客もますます増えていくことでしょう。夏休みももう間近、8月には「五山送り火」が控えています。秋の京都観光を予定している人もいるでしょう。計画を立てる際は、無理のないスケジュールを。時間をかけて京都の魅力を味わい尽くしましょう。
■ちせ(燈代知世)|京都歩きすぎ Twitter @ChiseKyoto
■京都歩きすぎVlog https://www.youtube.com/channel/UCz9yzDQ9jAr02X7jCupi1Fw