対話型AIの「ChatGPT」が公開されて半年余りですが、生成AI(人工知能)を活用したビジネスの将来性に関心が集まっています。株式会社帝国データバンク(東京都港区)が、全国1380社を対象に「生成AIの活用」に関する調査を実施した結果、6割超の企業が「生成AIを活用・検討している」一方で、活用を検討している企業の4分の3近くが、「活用イメージが湧かない」と回答していたそうです。
調査は、2023年6月にインターネットで実施されました。
まず、「生成AI(人工知能)の活用」について調査をしたところ、「業務で活用している」(利用に関する社内ルールあり:1.2%・社内ルール等はない:7.8%)企業は9.1%でした。さらに、52.0%の企業が「業務での活用を検討している」と回答しました。しかしそのうち7割強が「現時点では活用イメージが湧かない」(全体の37.8%)としていたといいます。
一方、「業務での活用を検討していない」(今後も活用するつもりはない:17.7%・業務での利用が認められていない:5.6%)と回答した企業は23.3%、「知らない」は4.3%、「分からない」は11.4%となっています。
業務で活用する企業からは、「アイデアに困ったときのヒントとして利用。社外秘情報や個人情報を含む質問は行わない」(機械・器具卸売)、「社内のアイデア出しやビジネスチャットにおける雑談相手、教育用途ではそのままの状態で十分実用になる」(不動産)などの声が寄せられたほか、活用を検討している企業からも「文書作成やアイデア出しのたたき台としては使えそうな感触を得ている」(専門サービス)といった意見が挙がりました。
その一方で、「エンジニアをはじめとする社員の能力が低下するのではないかという懸念点がある」(情報サービス)、「不動産業における活用方法のイメージが湧かない」(不動産)、「結論を導く一助とはなるであろうが、まだ信頼できるレベルにはないと思っている」(建設)、「我々の属する業界では、現在でもFAXが主流の通信手段で、AIサービスがシステムに組み込まれる状態にはまだなっていない」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)などの意見も寄せられていたそうです。
生成AIの活用状況を規模別にみると、「業務で活用している」企業は、「大企業」が13.1%、「中小企業」が8.5%、「小規模企業」が7.7%と、企業規模に比例して活用の割合が高くなっています。さらに、業務で活用している企業のうち、「利用に関する社内ルールがある」企業をみると、「大企業」の3.4%に対して、「中小企業」は0.9%、「小規模企業」は0.4%に留まりました。
他方、「業務での活用を検討していない」企業のうち、会社から業務での利用を認められていない企業も、「大企業」(11.4%)が最も高く、「中小企業」(4.7%)、「小規模企業」(4.3%)の順となっています。
企業からは、「情報漏洩リスクが懸念されており、グループ全体で使用禁止になっている」(電気機械製造)など、規模の大きい企業やグループを中心に利用ルールが定められているケースが多い一方で、利用を認められていないケースも多いという傾向がみられました。
次に、生成AIを『活用・検討』している405社に対して、「活用したことがある、または活用したい生成AI」を複数回答可で答えてもらったところ、ChatGPTなどを含む「文章・コード生成AI(総合型)」(93.1%)が最多に。次いで、「画像生成AI」(14.3%)、「音声・音楽・動画生成AI」(7.4%)が続いています。
このうち、ChatGPTの登場で特に注目されている「文章・コード生成AI」を具体的にみると、「ChatGPT」(オープンAI社/米)が87.9%で最も多かったほか、「Bard」(グーグル社/米)が27.2%、「Smartling」(Smartling社/米)が4.7%で続き、ChatGPTが他の生成AIより突出して高い結果となっていたそうです。