車にはねられた子猫、近づく大型バス…保護主は道路へ飛び出した 獣医師から「安楽死させた方がいい」それでも手術でつないだ命

渡辺 陽 渡辺 陽

ひょうちゃん(4歳・メス)は、2019年6月9日、九州在住のOさんに保護された。

その日、Oさんは車で迎えに来てもらうためを道路沿いに立っていた。すると、ドンッという音が聞こえ、視線を向けると、子猫がフラフラっと2~3歩歩いた後にパタリと倒れたという。

「その場所は車通りの多い道で、ひょうが倒れている所には大型バスが近づいていました。このままバスに轢かれてしまうのを見過ごすことができず、私は即座にひょうを抱きあげ、反対車線に道を渡りきりました。口からは血が出ていましたが、骨折や外傷は見当たりませんでした。少し安心しつつ、急いで動物病院に向かいました」

ひょうちゃんは、初めはシャーシャー言っていたが、すぐに慣れて膝の上にのっかり、喉をならして前足をフミフミした。

動物病院でレントゲンを撮ってもらったところ、ひょうちゃんの肺がかなり縮小しており、横隔膜ヘルニアによる窒息死の危険があることが判明した。助けるためには手術が必要だった。

しかし、まだ小さい身体は手術に耐えられないとの判断で、手術は難しいとのこと。最初に見せた獣医師には「このまま窒息死を待つより安楽死をさせた方がいい」と勧められた。Oさんは諦めきれず、県内外の色んな病院に問い合わせた。どこでも、「拾った猫にそこまでお金かけられますか?」とは聞かれた。引き受けてくれた病院は、保護猫割をしている病院で、とても有り難かったという。

「運良く手術を引き受けていただける病院に出会え、ひょうの手術が決定しました。手術は難しかったですが、ひょうは頑張って手術を耐え抜きました。そして、手術後は順調に回復し、後遺症もありませんでした」

ひょうちゃんは手術後、経過観察のために動物病院で一夜を過ごしたが、翌日には元気に食事を取り、歩き回る姿が見られた。

力強く育ってほしい

ひょうちゃんの名前の由来についてOさんに聞くと、

「子猫の頃にシャーシャー言っていたのが大型野生動物の赤ちゃんに似ていたからです。それに、事故の怪我で死ぬかもしれない状態だったので、少しでも力強い名前をつけたかったんです」と教えてくれた。

ひょうちゃんの性格は、臆病でおっちょこちょい。穏やかで甘えん坊だという。

「いつも膝の上に乗ってきたり、寝る時はお布団に入って一緒に寝ています。テレビを一緒に見るのも大好きです」とOさんは言う。また、ひょうちゃんおっちょこちょいエピソードについても教えてくれた。

「窓の外に蝉が止まっていたのを追いかけて部屋の細い棒に登り、滑り落ちそうになって懸垂状態になったことがあります。また、紙袋を見つけたら猛スピードで体ごと突っ込んでいくのも面白いです」

大事な相棒

ひょうちゃんを迎えて、Oさんの暮らしは大きく変わったそうだ。

「猫ちゃんと一緒に暮らすのは初めてでしたが、いつも一緒にいる相棒ができて楽しいです。ただ、臆病なので誰かに預けたりすることはしないです」

長期のおでかけはしなくなったそうだが、ひょうちゃんとの日々を大切に過ごしていることが伺える。

Oさんはひょうちゃんに対して、「最後の最後にひょうちゃんが目を閉じるまで一緒にいるから安心して幸せいっぱいに過ごしてね」と伝えたいと言う。

これからもOさんとひょうちゃんの幸せいっぱいの日々がずっと続きますように。

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